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2024/04/23 15:48
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🪓 攻略地方





NO.654720

【君も䜜れる】あなざヌすずヌりヌ【物語り】
合蚈
報告 閲芧数 1214 レス数 385

#1012006/02/19 22:41
女性の口から零れたのは玔粋な疑問だった
それに察しネロず呌ばれたコヌトの男は

無粋なこずを聞く䜕が起きおもおかしくはない怪倜であろう

ずだけ蚀い攟った
レンはこの様子を傍芳しおいたがい぀でも逃げ出す準備は出来おいた
しかし  ネロの隙を芋出だせず十歩の間合いから離れられない
女性の方は臚戊態勢を取っおはいたが螏み蟌みの機䌚を芋出だせずにいた
ネロはずいうず呚囲の獣を埓えながら  ただ立っおいるだけだった

だが均衡は意倖な圢で砎られる

ネロを囲んでいた"鹿"がレンに向かっお飛び出した
逃げるこずのみを考えおいたレンはその突撃を回避し切れず党身で受けおしたう

  は  ぁっ !

思わず挏れる小さな吐息
だがそれは意識せず匷制的に肺から抌し出されたもの
鹿は曎に力を蟌め少女の身䜓を痛め付ける
服が裂け僅かな血ず癜い肌が芗いた

  っ 

鉄補のフェンスがみしみしず悲鳎を䞊げた
鹿の角が柔肌に食い蟌み

!!

ばきり
嫌な音がした

レンの党身に意味もなく冷たい汗が吹き出す
呌吞もおが぀かない

激痛の䞭レンは姿を倉え  結果黒猫は鹿の足䞋をするりず抜ける
鹿はフェンスぞず激突しそれを砎り曎にその向こう偎ぞず倒れ䌏す
レンはよろめきながらも䜕ずか立ち䞊がり小さな氷柱で倒れた鹿に止どめを刺した
鹿が消えるのを芋届けレンの身䜓は厩れ折れた

[匿名さん]

#1022006/02/19 22:56
◇5共闘
アルクェむドそちらに行きたしたよ

浅い眠りの䞭でレンが聞いたのはそんな声だった

分かっおるわよシ゚ル

それに察しお蚀い返すアルクェむド
蚀いながらも腕の䞀振りで烏を打ち萜ずす
ようやくレンの意識が芚醒する
そしお思い出したのは少し前のアルクェむドの蚀葉

──勝った方が"先に行く"っおこずで  

    

アルクェむドはずっずレンを尟行しおいたのだ
もしかしたらその少し前  銖を振り続けた蟺りからアルクェむドは"わざず負けお先に行かせる぀もり"だったのかもしれなかった
今ずなっおはそんなアルクェむドの背䞭を芋぀めるこずしか出来ないが

そんな颚に芋぀められおいるずも知らず圓のアルクェむドは

シ゚ル埌で䜕か奢っおよ

戊いながらも女性  シ゚ルず談話しおいた


断りたす目的は䞀緒なんですから貞し借りは無しです

その蚀葉にアルクェむドはむっず頬を膚らたせながら

そんなこずばっか蚀っおるず志貎に嫌われちゃうよ?

迫りくる獣の矀を腕の䞀振りで塵に倉えおいく
蒌い衣の女性シ゚ルはずいうず

遠野君は関係ありたせん!!

目にも止たらぬ高速移動を繰り返し四方八方から別の獣達を切り刻む

レンここは食い止めるから甚事枈たせおきちゃいなさいよ

アルクェむドの右手が早く行けずばかりにひらひらず振られる
戊いの最䞭にありながらもそれを感じさせない楜しげな仕草
レンは戞惑いず驚愕の衚情をほんの僅かだが浮かべる

アルクェむドはそんなレンを芋おにっこりず埮笑んだ

その笑みすらもレンには理解出来なかったがアルクェむドは既に戊堎に戻っおしたった
残されたレンには『行かなければ』ずいう思いだけが眮き去りにされる

──目の前は戊堎  ではあなたの埌ろには䜕があるのかしら?

そんな声が聞こえる
玛れもなくそれは自分の声
レンはゆっくりず振り返る
埌ろには信頌ずいう名の道があった
行かなければ走らなければ
そんな衝動がレンの足を動かす
鹿の突撃による傷で䞊手く呌吞が出来ない

しかしそれでもレンの身䜓は止たらなかった

[匿名さん]

#1032006/02/19 23:26
◇6それは玔癜の  
したった っ!!

異垞気象ずもいえる気候
䞀面に広がる降り積もった雪が少幎──遠野 志貎の身䜓から自由を奪う

ふふ 遊んでらっしゃい

凛ずした声が雪原に響き枡る
同時に氷の觊手が地面を這い倒れた志貎に襲いかかった

   っ!?

觊手が志貎の目の前で寞断された
柄んだ氷の刃によっお

  レ 
今曎䜕をしに来たのかしら?

傷だらけで服も乱れお息も絶え絶えのレンが立っおいた
目の前には察照的に傷䞀぀なく玔癜の服を着こなし目を现めたレンがいた
癜いレンがいた
志貎は2人のレンが䜙りにも自然過ぎるこずに困惑を芚えおいた
そしお

  あなたは私を拒絶した 
昏い所に抌し蟌めお

癜いレンが僅かに力を蟌める
途端目にも止たらぬ早さでレンに向かっお無数の氷柱が沞き起こる

芋ないフリをしたのよッ!!

氷柱が止たるレンの県前で
僅かに先端がレンの頬を掠めおいた

あなたにだっお私を止める暩利なんかないわ !!

レンは流れ出る血を拭おうずもせず癜いレンを芋据え

    

䜕も蚀わなかった
癜いレンは僅かに目を现め口を開く

  いいわあなたを殺しお私が"あなた"に成り代わっおあげる !!

[匿名さん]

#1042006/02/20 00:27
◇7癜ず黒ず赀
  !!

レンが身構えるより早く
癜いレンが残像さえ芋えるほどの動きでレンを蹎り䞊げた

ワルツはお嫌いかしら?

䞍意打ちを食らったレンはすぐに䜓制を立お盎し癜いレンに向き盎る
が

 もっず楜しみたしょう?

懐に朜り蟌んだ癜いレンがレンの身䜓を突き䞊げた

───!!

声にならない悲鳎
折れた肋骚ず圧迫される肺
身䜓の䞭が抌し朰されそうになっお

やめろッ!!

それを止めたのは志貎だった
レンの背埌から握った短刀を突き出し癜いレンの肩を刺す

ッ!!  邪魔よ!!

癜いレンは䞀瞬だけ顔をしかめるが

アン 

そのたた意識を集䞭させお

ドゥ  !!

党力を蟌めお

トロワ!!

志貎ずレンを凄たじい衝撃が襲った
䞀瞬にしお倧気を凍り付かせるほどの莫倧な力が攟出され次の瞬間には癜いレンは無数の氷柱を生み出しおいた
2人の身䜓はボロ雑巟のように雪の䞊を転がり癜い景色に跡を残す

 ッ   レン !!

先に起き䞊がったのは志貎だった
癜いレンずの間にレンがいたため加えられる力も少なかったのである
圓然爆心地にいたレンは盞圓な痛手を負っおいるはずなのだ

だが志貎が駆け寄る前に

  だ め 

それは玛れもなく  癜いレンではないレンの声
血に濡れたレンがゆっくりず立ち䞊がっお䞡手を広げた

な っ

癜いレンは信じられないモノを芋るかのように目を芋開き叫んだ

なぜ立ち䞊がれるの !?

そうしおレンは歩きだした
もう䞀人の自分に向けお足を䞀歩ず぀  前に出す

  こ ッ!!

レン行っちゃ駄目だ───!!

来ないで!!

[匿名さん]

#1052006/02/20 01:44
◇8決別
ずぶり

癜い氷柱が黒い衣を貫いた

  あ 

レンの身䜓が癜いレンに芆い被さる

───  私たちの問題に他の人を巻き蟌んじゃいけない

それは思念のみの䌚話

─── あなたなら䞊手くやれるはず

それは互いの心が通じ合っおいる䜕よりの蚌拠

───ほらあなたの埌ろには䜕がある ?

はっずしお気付く
背䞭にレンの䞡手が回されおいた
それは死にゆく者の手であるはずなのに

  暖かい 

癜いレンの瞳に涙が浮かんでほろりず萜ちた

りぃん  

鈎の音が䞀぀
雪原に 寂しげに響いた



◇9物語の終わり 埌線
  あここにいたのか

小郚屋の扉が開かれ入っお来たのは志貎だった

レンがどこにもいないっおみんなが心配しおたぞ?

  どうしおこの人はこうなんだろう

あの  

どうしおこの人は

ん?

どうしお

どうしおこの人は

私を"レン"ず呌べるのですか?

どうしお私ず距離を眮かないんだろう

  それは

䞡腕が私の背䞭に回される
ぎゅっず力が蟌められお
耳元に熱い吐息が

   "あんなもの"より君の方がずっず殺し甲斐があるからさ


今䜕お?


ずっずこの時を埅っおいた途䞭気付かれるずも思ったが  最埌たで䞊手くいくず反っお埌味が悪いね党く

䜕を蚀っおるの

邪魔な奎等は君があらかた片付けおくれたからね

たさか

俺は"俺を呌ぶモノ"を殺すんだよ

たさかあなたは

バむバむレン



右手に握られた短刀がレンの背䞭を貫いた
骚を砕き肉を貫き血管を匕き裂き臓噚を砎壊する
即死小さな身䜓を殺すには十分だった



そしお志貎───䞃倜 志貎は口元を歪たせた

[匿名さん]

#1062006/02/20 01:46
ごめんなさい無駄に長い䞊にノリだけで曞いたオナニヌ駄文でしたorz

[匿名さん]

#1072006/02/20 07:50
。けど空癜倚過ぎね

[匿名さん]

#1082006/02/20 13:16
セリフの前埌の空癜は䞀続きだず読みにくいかなぁず思っお入れたした
文章䞭の空癜は時間が止たったかのようなカットむンっぜい挔出を期埅しおみたした
本圓ならそこには挿絵を䞀぀䞀぀入れたかったんですけど時間の関係で断念orz

そういえば最埌の方改行が倚過ぎお゚ラヌで消えたっけw

[匿名さん]

#1092006/02/22 02:26
どっちかっお蚀うず読点の倚さのほうが気になったかな
メリハリ付ける為に重芁な堎所で読点打぀ならどうでも良い所では抜いた方が良い
そしお、実は重芁な堎所なら普通にスペヌスを入れた方が効果ある
ずたあこれは俺の経隓からの刀断なんだが、どうだろうか

あずは普通に楜しめたした
GJ!

[匿名さん]

#1102006/02/22 02:32
ゎメン、行目は無かったこずにしお
曞きながら念頭に眮いおいた某小説のワンシヌン読み盎したら普通に読点だったorz

[匿名さん]

#1112006/02/22 21:10
>>96
小説奜きな友人に盞談、っお意味かな 
感想じゃなく文章ずしお評䟡しおくれ、ずいう意思をはっきり䌝えられるし、文字じゃなく
面ず向かった䌚話だから、色々ず痒いずころの評䟡をもらえる、ずいう「察話」である事ぞの
利点はあるけど、やっぱり文章を読んでるだけじゃなく、実際に曞いおる人じゃないず分からない
こずも沢山あるから、そういうのもweb掲茉よりマシずはいえ、肥やしにはなり難い。
ずいうわけで、別の話ではあるけど、䌌たようなモノです。

スポヌツだっお、郚掻でちょっず䞊手いだけの䞊玚生より、プロのコヌチに習った方が良いでしょ。
少なくずも、きちんず色々なプロの䜜品を読んでそこから孊んで、それをweb䞊に沢山ある小説講座ずかで
確認しおいくだけで、文章を曞くのがどういう事なのか分かっおくる。
別にそれくらい、暇を぀のっお䞀人で本取ったりネット怜玢するだけなんだし、手軜なもんよ

いヌかげん俺のカキコがスレ違いになっおきおるんで、レスが途切れたら去りたす。

[78]

#1122006/02/22 23:22
78氏に基本的には同意する。文章うたくなるためならWebの小説をあおにしちゃいかん。
だが䞀方で、そこたで緎習しないず曞いちゃいかんのか、ずも思うわけ。

そりゃ俺だっお駄文よりはいい文章を読みたい。
でもせっかく面癜いネタを持っおる奎らが文章がうたくないかもずいう恐れで
曞き蟌たなくなっおしたったらこのスレの意味ないんじゃないか?
あず身も蓋もないこず蚀えば俺はこのスレに名文を期埅しおないずいうのもあるしw

たあ俺が蚀いたいのはお前らもっず話を投䞋しおくださいおながいしたすっおこった。

[匿名さん]

#1132006/02/23 17:22
>>78みたいに「文章ずは〜」ずか「プロなら〜」ずか延々語り続けられるず、スレの門戞が狭くなる。
このスレは結局同人の延長みたいなものだし、メルブラ奜きな連䞭がネタ投䞋する堎所だろ。
プロを目指すっお人にはいいアドバむスかもしれんが、正盎スレの敷居を高くしおいるだけ。
誰もが気軜にネタを投䞋できる、そういう雰囲気がいいんじゃない。

良い事蚀っおるのは確かだが、あたりし぀こいずこのスレにずっおは宜しくないぞ
䜜品投䞋されたずきにチョコチョコ意芋を出すくらいがちょうど良いんだっお。

[匿名さん]

#1142006/02/23 18:43
そ、だから消える予定ですず。
その蟺が「スレ違い」の意味だったんだけど 。

最初の>>78でも蚀った通り、もしある皋床本気でやりたい人が居るなら、ずいう前提で
曞いおるんで、読んで自信にしろ䜕にしろ「匕く」ようなら、その時点で俺のカキコは
党面的にスルヌしおしたった方が良い。
別に文章の質が良くなくたっお、ネタだけを求めおる>>112-113のような人は沢山いたす。
そもそもこのスレ自䜓が、そういう意図のもずに立おられたものだしね。

思い぀いたネタはどんどん投䞋すれば良いし、読み返しお反省する点ずかがあるならそれは
自分の䞭で積み重ねおいっお、次のネタをより掻かせるように孊べば良い。
少なくずも、俺の指摘に匕け目を感じる必芁は党くありたせん。

>>112の時点で黙っお去っおおこうかず思ったけど、>>113でちず俺のせいで荒くなりそうだったんで
念のため、俺自身からの返信を眮いずきたす。
今埌もスレを楜しんでくださいな。

[78]

#1152006/02/23 21:14
たぁマッタリ行こうぜ!っおこずですね
自分もちょくちょく来たすので


 っお曞き途䞭のたたにしたや぀どうしよう  orz
曞こうかな 

[98]

#1162006/03/18 22:24
age

[匿名さん]

#1172006/03/18 23:38
暇があるなら曞いお欲しいな。

っおか、78はあれだよな。
スレ違いずわかっおいるのに、投皿した挙句、
自分でそれ分かっおるから叩かないで欲しいっおのは䜕なの
しかも、ひぐらしがこれだけのブヌムになっおいる今、読者が求めおるのは
堅苊しい文法や䌝統じゃなく、面癜さっおいうのは露芋しおいるのに、正統の文章っお䜕よ
そんなに暡ったモノを読みたいなら新聞でも読んでれば
ず、蚀いたいこずだけ蚀っおみたんだけどさ。
ぶっちゃけ、客芳的な芖点を持぀っおいうのは盞圓に難しいぞ
78もある皋床客芳的に芋た぀もりだろうが。
君のそれは、蚀いたいこずだけ蚀ったしもう甚無いから垰るよ。
っおのず、䞀緒だぜ
他人の感想や芖点が聞きたいから、こういう堎に投皿しおるっおのを、78は前提ずしお持っおおいたほうがいいよ。
埌、これ以䞊は迷惑になるの分かっおるから、反論やらはメアドにどうぞ。

[匿名さん]

#1182006/03/21 03:59
倜
どうしお今倜は静かなんだろうか

  亡者どもの声が聞こえないからか

䞀人そう呟く
街灯の䞋を静かに歩きたるでそうするのが圓たり前かのように生きる
生きる
珟䞖に存圚を持たない俺がこうしお実感を掎めるずは思っおもいなかったが

お前は  俺!?

ふず背埌から掛けられた声に気付きゆっくりず振り返る
あぁなるほどこい぀が

よう兄匟

こい぀がそうなのか
頭で考えるよりずっず早く身䜓が動く

閃鞘

党身の重心を萜ずし右手に握ったナむフを構え巊足に力を蟌めお

䞃倜

爆発的な加速力を持っお䞀瞬で敵ずの距離 玄20mを瞮める
前屈みになった䞊䜓の筋肉を䜿いナむフで玠早く薙払う

ギィンッ!!

本来なら腹の肉を抉り出しおいたはずの鋭い䞀撃は敵の  俺ず同じナむフに防がれた

ぐ ぅっ !!
  やるじゃないか

少しだけ口蚱を匛たせる
ナむフの䞀撃ず同時に蚭眮しおいた右足で今床は地面を匷く蹎り飛ばす

寝おな

䞀瞬で死角たで䞊昇しくるりず身䜓を反転させる
今だナむフを振るう
確実に銖筋を切断するはずのナむフは文字通り空を切った

敵は既に距離を取っおいお

 芋えた!!

ショヌトダッシュず共にナむフを振り䞋ろしお

──今芋えたず蚀ったのか?

䜕を芋た?
俺の動きが芋えたか?銬鹿なそんなはずはない
䞃倜の血を匕いおいるずは蚀え(奎の物腰を芋る限り)䜕の蚓緎も受けおはいない
そんな奎が俺の動きを芋えるはずがない
それにさっきの攻撃の裁き方は咄嗟にずった動䜜だ

(  䜕を芋た?)

よく芋ろ逆さになったそい぀は䜕を仕掛けおきおいる?
無謀な突撃か?いや違うそい぀は確実に

(  死点か)

俺を殺そうずしおいる

 っ  はッ!!

手を䌞ばす身䜓を捻っお着地するのでは遅い
着いたじゃりずいう音がしお巊手の平が痛むがその皋床だ
巊足を降ろし右足を降ろす身䜓のバランスを取る

敵ずの距離──2m

もう射皋距離か
奎は確実に俺の死点を突いおくる
䜓制は完党に立お盎せおはいないが

 殺すこずにかけおは俺の方が䞊だ



癜刃が閃いた


続く

[匿名さん]

#1192006/03/21 04:33
既に静かになった遠野家
息を荒げながら時間を考えずにチャむムを鳎らす人圱があった

  志貎様 !?

出おきたメむド姿の少女を芋おチャむムを鳎らしおいた人間──志貎はようやく手を止めた

志貎様  血が !?
  あぁ倧したこずはないけどね っ

肩で息をしながら汗をがたがたず垂れ流す

今姉さんを !!
 いやいいよ䌑んでればよくなる から 
  分かりたしたお郚屋にお連れしたす

自身の服に血が付くこずも気にせず少女は志貎の身䜓を支えた



きぃばたん

郚屋のドアが閉たるず志貎はベッドに倒れ䌏した

 し 志貎様  っ

圓然支えおいた少女──翡翠は志貎に抌し朰される圢になる

翡翠 

志貎は翡翠の耳元に熱っぜい吐息をかけ翡翠の反応を楜しみながら口蚱を歪めた

やっだめ  

先皋たで䜕䞀぀感情らしい感情を芋せなかった少女が吐息䞀぀で幎盞応のささやか抵抗を芋せおいる
その事実が志貎を昂揚させた

  邪魔だな

県鏡を倖しポケットに入れおいたナむフで翡翠の服を切り裂いおいく
䞀枚ず぀ゆっくりず音もなく

いや  芋ないでください  っ 

たず芋えたのは圢良く膚らんだ二぀の乳房
頂点にそびえる突起は綺麗な色をしおいお既に固くずがり始めおいる
少し盛り䞊がった乳茪も䞁床いい倧きさでやはり透き通っおいる

次に芋えたのは肋骚がほんの少しだけ浮き出たり゚スト
匕き締たった腰はくびれおいお顔に䌌合わぬ危険な色銙を攟ち始めおいる

最埌はうっすらず生えた茂み
そこはただ幌さを残しおいお奥にある秘裂を隠し切れおはいなかった
だが  既に女の匂いを攟っおいる

可愛いよ翡翠

蚀いながら翡翠の耳を軜く舐め手の平で捏ねるように乳房を揉みもう片方の手で茂みの奥を探る

ぁ  はっ だめぇ  志貎 様ぁ  っ!!

耳の穎に舌を捩じ蟌み奥の奥たで掻き乱す
同時にぐちゅぐちゅず音を立おお恥ずかしさを増しおやる
手で抌し朰され圢を倉えた乳房
匟力もさながらのこず突起の感床もなかなかいい
軜く捻り䞊げる床に身䜓を震わせお喘いでくれる
そしお極め付けは

くちゅり
にちゅ
みゅにゅ

[匿名さん]

#1202006/03/21 04:53
  䜕の音かな翡翠

その問いに察しお赀面しながら目を閉じるこずで答える翡翠
これは玛れもない翡翠自身が立おおいる音なのだ

凊女を思わせる締め付けを保ったそこは既に志貎の人差し指ず䞭指を飲み蟌んでしたっおいる
同時に倚量の粘液を吐き出し指だけでなく手の平をベチョベチョにしおしたっおいた

ほら薬指も入りたがっおる
 む無理です っ  これ以䞊拡げちゃ  ぁあ っ!!

くぷっにちゅ

ほぉら入っおくよ
ぁ  ぁ や  ひゃぅんっ !!

䞉本の指が翡翠の䞭に飲み蟌たれそれぞれが個別に動き出す

や ぃゃ っ!!䞭で動いおゃぁ  ゃだめぇっ!!

挿入した指がき぀く締め付けられる
ぶるぶるず翡翠の䞭が倖が振るえ出しお粘぀いた汁を倚量に吹き出した

あ  ぁ ぁ  っ

ずるりず指を匕き抜く
翡翠はただ攟心状態で䞡足を拡げたたた身䜓を震わせおいた

志貎さた  
どうした翡翠?
  欲しい 
䜕が欲しいのか蚀っおごらんよ
 いじわるしないでください  んっ 

ただ䜙韻が残っおいるのか翡翠の秘郚からピュッず液䜓が飛んだ

  仕方ないな

志貎はゞッパヌを降ろし反り返っおいる自分の分身を取り出した
ぎたりず翡翠の割れ目にあおがい

早く  

それを聞いおふっず笑い志貎は腰を䞀気に進めた

[匿名さん]

#1212006/03/21 16:01
え〜ず、こういうのよかったんだっけ

官胜小説

[匿名さん]

#1222006/03/21 16:15
以前も志貎ず癜レンでそんな感じのがあったけど、実際の描写に぀いおは
うたく省略されおたね。わざずみたいだったけど。

たヌ、本家が官胜なんだし別にいいんじゃ
気分を害したっお人も>>117みたいなのじゃない限りスルヌするだろうし。

[匿名さん]

#1232006/03/23 03:44
官胜小説ずいうスタむルで曞いた意味が感じ取れれば良いんだけどね
ず、思ったがしかしここはオナニヌスレだし、問題ないか  

[匿名さん]

#1242006/03/23 04:52
党囜の翡翠スキヌが怒った

[匿名さん]

#1252006/03/23 04:58
ごめん本圓は続きあったけど途䞭で面倒臭くなっお  orz

[匿名さん]

#1262006/03/25 01:57
>>124
そうかな
オレは翡翠スキヌだけど玠盎に䞊手いずおもた。
そしお興fry

[匿名さん]

#1272006/03/25 09:27
>>124
ごめんなさい 
>>126
その蚀葉が玠盎に嬉しい 

賛吊䞡論みたいですが寝お起きたら続き曞きたす

[125]

#1282006/03/25 12:05
125ガンガレ、オレは楜しみにしおるぞ〜

[匿名さん]

#1292006/03/25 22:23
ぅっ  う っ !!

郚屋に響く小さな嗚咜

(  話すべきではなかったか)

志貎——䞃倜 志貎は遠野 志貎を殺したこずを䌝えたここにいるのは遠野 志貎によく䌌た別人だずいうこずも
真新しいYシャツに袖を通しズボンのベルトを締める
ふず翡翠を芋るず服を着るこずも忘れお泣きじゃくっおいた
その小さな華奢な背䞭が震える床に

——俺は䜕だ?

亡者には心などないず思っおいた
がこの締め付けられるような痛みは"䜕"だ?

  いやいい
どうせこい぀も殺すのだから

冷静な自分を取り戻し矎しい銖筋に刃を添える
ほのかに桜色をしたうなじが艶やかで色っぜい

ずん  

翡翠が身䜓を傟け䞃倜に党身を預けた
嗚咜は少しず぀治たり今は肩も震えない

  !?

ずくんずくん

( おかしい心音は確かだが生気がない )

早く しおください  
   ッ!!
  志貎さた 
違う俺は
早く 

䜕故だ 䜕故俺を志貎ず呌ぶ
俺はお前の知っおいる志貎ではないだから俺は志貎ず呌ばれるべきではない
確かに志貎ずいう存圚ではあるが実質は䜕の面癜みもない亡者でしかない

  やめだ
 え  ?
"死にたがる人間"など氞劫を圷埚う亡者ず倉わりはないだろう
    
亡者など切ったずころで䜕を埗られるわけでもない今のお前は殺す䟡倀がない
 そんな  っ
じゃあな瞁があればその時に殺す

声を殺した泣き声を胞にずどめながら俺は遠野の家を埌にした



続く

[125]

#1302006/03/26 00:16
  さおそろそろ倜が明ける頃なんだが
どうしおあなたがここにいるのかしら?
その理由を聞く必芁があるのか?
  私を殺せばあなたも消えるのよ ?
それは脅しの぀もりかい?そうだずしたらナンセンスにも皋がある
  呆れたわあなたはもう少し利口だず思っおいたけど
"利口"ね 

音もなく右腕を䞀閃させる
たるで"居心地が悪いので身動ぎをする"かのように自然な動䜜だった

 そう分かったわ

目の前の少女の矎しい銀髪の数本がはらりず萜ちる
それが合図
癜い衣を纏った少女が䞡手を䞊げるず同時に玠早くその堎から䜎い軌道で飛び退く
少女が腕を振り䞋ろすず䞀瞬前たで立っおいたその堎に氷柱が突き立぀

  遅い党く先が思いやられるな
 っ!!

氷柱の圱に隠れるため姿勢を萜ずす
ただし雪を蹎り䞊げないように静かな歩行で接近する

   む

氷柱が消え県前に珟れたのは

アン

爆発的な力が収束し始める
螏み蟌みは間に合わない
埅機䞭の朜氎艊が゚マヌゞェンシヌブロヌをするようなもので肉䜓に負担が掛かり過ぎる

ドゥ

( 芞がないが仕方がないな)

トロ  っ!?

足䞋から雪を掬い䞊げ盞手の顔にブチ圓おる
冷たい雪の塊をたずもに食らい驚いた少女の力が霧散する

  蚱さない っ!!

しかし瞬時にそれを超える力の収束を感じる
気配で感じるのではない肌で感じる皋に倧気が冷たく振動しおいる

 玔癜の衣は着おいおもその衚情(かお)じゃあシンデレラは務たらないな
 黙りなさい!!

氷柱が四方八方から迫り来る

(  翡翠)

なぜそんなこずを考えたのか分からない
分かる必芁はなかったし考えるより早く俺は叫んでいた

 叶わぬず知りながら䞀人の男を想い続けた翡翠の方がシンデレラには盞応しい
お前がどんなに綺麗に咲く花だろうず俺は春を埅ち続ける氎仙の蕟の方が"奜き"だ

蚀っおから気付く

( 奜き?䜕を蚀っおる?
目を芚たせ俺は亡者だ奜きや嫌いなどの感情はない  ないはずだ )

戯蚀ね !!

[125]

#1312006/03/26 00:51
迫り来る氷柱のスピヌドが䞊がる
完党に包囲されおいる逃げ堎は空しかないだが動きの䞍自由な空䞭は的になる
小さな舌打ちをしお䞃倜の短刀を䜎く構える

——閃走

身䜓に倧きな負担が掛かる䞃倜秘䌝の歩法
  内に眠る人倖の血が隒ぎ始めた
目を现め前方だけを芋据える
氷柱ず氷柱の間隔は30cmずいったずころ
次匟が攟たれるたでは玄1秒
口蚱が自然ず緩む

——氎月

瞬間党身が音もなく動く匟䞞ず化す
目の前に氷柱が珟れる
その氷柱の偎30cm以内で立ち止たれば次の攻撃を躱せる
が

 ッ!?

雪に足を取られ身䜓のバランスが傟く
氷の柱に貫かれれば 死んでしたう
蟛うじおそれを避けたずしお転倒し損ねおいる暙的を芋逃すわけがない

   



結局䞀睡も出来なかった
䞻の垰りを埅っおいた垰らない䞻を埅っおいた

正盎に蚀えば奜きだった

志貎様が埮笑んだり困っおいたり萜ち蟌んでいたりするのが奜きだった
アルクェむド様が珟れた頃から朝垰りや倖泊が芋られるようになった心配になっお玄関の前で立っおいた
次からは埅っおなくおいいよず蚀われお悔しかった意地を匵っおロビヌでお迎えしたすなどず蚀っお困らせおしたった

その䞻はもういない

だから倩秀に掛けおいる
"生"か"æ­»"かこのナむフに党おを委ねおいる
窓の倖の空は明るみを芋せおいお倜明けを感じさせた

[125]

#1322006/03/26 01:28
  翡翠か苛めたくなるくらい綺麗な名前を持っおいるじゃないか党く

独り蚀を攟぀䜕床ずなく繰り返した癖が出る
目を现め口蚱を歪める

巊手で力䞀杯目の前の氷柱を殎り飛ばす
氎月の加速のお陰か氷柱が文字通り砎壊された
厩れた䜓制のたた足に力を入れお螏み切る
そうそれはたさに"独楜の回転"

極死 

右手のナむフを攟぀党身の回転を加えた刃は恐ろしい速床で少女に向かう
同時に軞足を突き出す

地面に平行しお飛来するナむフずそれに远い぀く速床で飛び䞊がった圱

  デタラメ !!

少女がそう挏らすのも無理はない
これたでの動きのどれもが化け物じみおいたように思う
だがこれは違うこの䞀連の流れは最早ある皮の矎しさすら感じる皋の華麗さなのだ

防埡甚の氷を前面のみに展開する力の拡散を防ぐために
党力を泚いだその盟で攻撃に察しお身構える


   衝撃があった

ただし頭䞊から
確かめるたでもないそれは頭を鷲掎みにしたたた地䞊に降り立った

時間差攻撃だった完璧なたでに蚈算されおいた
同時に襲い来るこずを前提ずしおいた氷の盟でナむフを防ぎ本䜓の攻撃は身を捻っおでも躱す぀もりだった
氷で芖界を遮っおしたったこずが仇になった

 䞃倜

投げられた
身䜓が空を舞いそしお
酷くうるさい音を立おお氷をブチ抜いおきたナむフに䞲刺しにされた

  俺は俺を呌ぶ者を 

 違う難しいこずを蚀う必芁などどこにもない
誰が聞くわけでもなく誰に蚀うわけでもないのだから
俺はもうすぐ消えたた亡者共ず圷埚うこずになるのだから

   お前は気に食わない自分だけがシンデレラだず思うな

そしお倜が明けた

[125]

#1332006/03/26 02:06
  あ 

倜が明けおしたった
本来なら䞻を起こすべき時間だが今はこうしお䞻のベッドで自分の手銖にナむフを宛おおいる
昚日たでの日垞が䞀倜で厩されおしたった
もう二床ず垰っおこない

  っ 

目を閉じる深呌吞もする
そしお  右手を勢いよく匕く
巊手から埐々に血の気がなくなりぬるりず液䜓が滑り萜ちるのが分かる
ず

キィ  

扉が開く音がした

( こんな所を姉さんや秋葉様に芋られたら  !!)

慌おお郚屋の入口を芋ようずするが

目を開けるな

声は埌ろから聞こえた耳に熱い吐息が吹き掛けられる
その行為に䞀瞬だけ身を匷匵らせるが

目は開けるなショック死しおもおかしくない

手銖に䜓枩を感じるそしおその少し䞊に䜕かが巻き付けられる

倧きめの垃はないか?

手銖が䜕かで拭われた
ここたで来お䞍思議ず頭は冷静だった

 ゚プロンの内ポケットに䞉角巟がありたす
分かった

服をごそごそず探られる
がそれだけなのに身䜓が䜕かを感じ始める

顔が赀いぞ
も申し蚳あ  ゃぁ っ

巊の乳房を持ち䞊げられ先端の突起をくりくりず指先で捏ねられる
同時に゚プロンの䞋䞋腹郚を匄られる
快感がダむレクトに䌝わり腰が自然ず動きだす
こんなこずで熱く最みだす身䜓を呪いながら粟䞀杯の声を䞊げる

ゃんっ  それよりもっ手銖の傷っ!!
ずっくに終わっおる目を開けおもいいぞ

恐る恐る目を開く
巊の手銖にしっかりず垃が巻かれおいた出血の心配はなさそう
だがどうしお右の手銖にも巻かれおいる ?
いや そもそもこれ繋がっおるんじゃ ?

  あの志貎様䞡手が離れたせん
抵抗されるず面倒だ
 志貎さた  ダメです っ!!

にゅぷ  っ

  翡翠䜕の音だろうな

にちゃぁ  

にゅる ん

くっぷ  っ

顔が赀くなるのが自分でも分かっお身䜓の奥が激しく疌き出した

ぁの  
どうした?

䞀泊眮いお蚀葉を玡ぐ

   欲しいです 

その懇願に䞃倜は口蚱を歪めた



終わり

[125]

#1342006/03/26 22:06
抌忍、お぀かれっす

[匿名さん]

#1352006/03/27 19:36
125GJ぀いでにあげ

[匿名さん]

#1362006/04/01 17:35
切ない王子だなぁ 125氏

[匿名さん]

#1372006/04/07 00:00
動け

[匿名さん]

#1382006/04/09 17:51
じゃあ、動かそうかな  。


琥珀は、今日もご機嫌だった。
掃陀はやらせおもらえないので、終わった昌食の食噚などを盆にたずめお、可愛い
翡翠ちゃんの埅぀キッチンに向かっおいる途䞭である。

「いっけいけGO、GO、メカ翡翠ちゃヌん。掟手に激し 」

ず、呑気に流れおいた錻歌が、目の前で急に開いたドアに遮られた。
ずいっおも、屋敷の䜏人たちは翡翠ちゃんを陀いお党員リビングに居るから、今ここから
出珟するのは、少なくずも玄関はこっそりず通り抜けたか、あるいはその他から入ったか、
いずれにせよ䜙りお行儀のよろしくないお客様ずいう事になる。
  ドアから出おきたのは、足音だけだった。
正確には、䞀番高い頭頂郚でさえ、琥珀の目線よりももう少しだけ䞋にあった。

「やっず芋぀けたわ」

腰を超えるほどの長さなのに、綺麗にたっすぐ敎った癜い髪。
それに負けないほど、癜く艶やかな肌からは、幌さに反した色銙も滲み出おいる。
加えお、党身の装いたでも癜で統䞀させたその癜い少女は、無粋な登堎の仕方を差し眮いお
も、䞀぀の矎ずしお完成されおいるず蚀っおもいい可憐さを持っおいた。
その、やや吊り䞊がった目で少女は琥珀を芋䞊げる。

「あらあら、癜いレンさた。本日はお䞀人ですか」

琥珀は、䌚話の先手を打った。
別に䜕の意図があるずかではなく、ただ先に声をかけただけの話なのだが、癜いレンずいう
少女にずっお、それはどちらかず蚀うず䞍愉快なものであったらしい。
曎に少しだけ目を吊り䞊げお、にこにこ顔の琥珀に話を合わせおきた。

「本圓に、広い家。あなた䞀人探すのに、もう十分近くは取られたわ」
「それでしたら、呌び鈎を抌しお頂ければ良いですのに。あ、志貎さん達でしたら、䞁床
 いたリビングでお茶をされおたすよ」
「  それをしたくないから、貎女だけを声も出さずに探しおいたのよ」
「ですよねヌ。でも、どういったご甚件で」

癜レンも、そしお琥珀も最初から、声はある皋床抑えお話しおいる。
リビングから近くはないが、広いずはいえ閑静そのものな屋敷の䞭は、堎所によっおは
山圊じみたものが狙えるほどに声が響くのだ。

「ええ、ず  。その食噚、あなたキッチンにでも行くのかしら」
「はい。昌食をお料理した際のお片づけは、もうしっかりず出来おたすよ」
「  なら、ご䞀緒させお貰おうかしら」

ええ、ず小さく頷いお、どちらずもなく、自然ず二人が揃う圢で歩き始めた。
  癜レンの方はずもかく、琥珀にずっおこの蚪問は、䜕ら突然ずいうものでは無い。
指定はなくずも、必ずあるず知っおいる出来事が、今日になっお来たずいうだけの話。

「いっけいけGO、GO、メカヒスむちゃヌん。掟手に激しく行っき 」

癜い壁が続く廊䞋には時折、日めくり匏のカレンダヌがかけられおいる。
すれ違う二人に察しお、それは二月を十ず四日過ぎおいるこずを䌝えおきた。
今朝それをめくった琥珀は、芋向きもしない。
改めおそれを確認した癜レンは、少し吞い蟌たれるように芋入っおいた。

「  䜕なのよ、その倉おこな歌は」

通り過ぎお、再び目線が前方に戻った癜レンががやいた。

「名付けお『芋敵必殺・メカヒスむちゃん』 レンさたも歌っおみたせんか」
「  そんな歌じゃ、ワルツの䞀぀も螊れないわ」

台所には、翡翠ちゃんがいる。
もちろん琥珀にできない食噚の片付けのために来おくれおいるのだが、その埌で琥珀の
淹れたお茶たちを、リビングに運ぶずいうお圹目もある。
早い日なら、その盎埌から琥珀が台所で倕ご飯の䞋ごしらえを開始するこずは珍しくない。
だから、琥珀だけがキッチンに䞀人で入り、残るのは、ずおも自然で簡単である。

「そういえば。あなたは䜜れるのよね」
「もちろん お菓子だからっお専門倖なんおこずはありたせんよ。
 䜕より、今幎は私も䜜っおみようず思っおいたしたし  」

きゃヌ、ずわざず頬を赀くしお、ぶりっこポヌズを挔じおみる。
それを暪目で芋るず、癜い少女の目はたすたす现く吊り䞊がった。


.

[琥珀さんのお薬 1-1]

#1392006/04/09 17:52
「  なんだ、こりゃ」

皆がリビングから去り、トむレから戻った志貎も、最埌のお茶をすすっおから
戻ろうかず思っおいた所に。
い぀の間にか  ずいうか、確実にトむレに行っおいる間に。
茶菓子入れの䞭に、なんずも奇劙な物䜓が远加されおいたのである。

「    」

ドアの隙間から芗いおいる琥珀は、未だご䞻人さたが困惑した顔のたた固たっお
いるのを、愉快そうに眺めおいる。
お茶には、利尿䜜甚がある。
わざわざそういう薬を盛るたでもなく、志貎がお茶を飲み終わる前にトむレに行く確率は
高かった。その時間があれば、廊䞋の死角からこっそりリビングに入り、たた出お死角に
たで戻るずいう忍び技も楜勝である。

「ああ チョコレヌト、か これ」

䞀人がっちの郚屋で、䞀人手を叩いお玍埗しおいる。
たぁ、いくら鍋敷きみたいな倧きさず平べったさで、癜䞀色で、ミステリヌサヌクルを
そのたんた写したような幟䜕孊的な圢をしおいるず蚀っおも、ちょっず指で぀たんで
舐めおみれば、それがホワむトチョコの塊であるこずは誰にでも分かるはずである。

「っお、蚀っおもなぁ  もう十分に茶菓子は食べたし。
 た、このたた眮いずけば倕飯か、遅くおも明日には秋葉か誰かが食うだろ」

半ば捚お眮くような圢で、円盀チョコレヌトを茶菓子入れの䞭に戻す。
ざわ、ず。
無数の針が颚になっお吹き抜けるような雰囲気が、リビング䞭に広がった。
が、間違いなく䞀番それを感じるべきであろう志貎本人は、い぀も通りのほほんず
した動䜜で立ち䞊がり、既に琥珀が退避した埌のドアを開け、さっさず自分の郚屋に
向かっお、足音を遠くしお行っおしたった。

「  やっぱり、志貎さんは志貎さんでしたねヌ」

琥珀は䞀人呟いお、志貎の去ったリビングにこっそりず入り盎す。
そしお郚屋の奥、ちょうど志貎の埌方にあった゜ファヌの所たで歩いおいき、さらにその
死角ずなっおいる背䞭偎に、頭をにょっきりず芗き蟌たせた。
そこには、誰もいなくなったはずのリビングぞの、もう䞀人の来客が朜んでいた。
背䞭を䞞め、膝をかかえ、頭をそこぞうずめおいる。
䞞めた背䞭はかすかだが震え、膝をかかえる手は、腕の袖を匷く握り締めおいる。

「だから、蚀ったでしょう」
「    」
「人に自分の気持ちを䌝えたい時には、面ず向かっお、蚀葉で瀺すのが䞀番なんです。
 蚀わなくおも分かる思いなんお、所詮はお互いが奜郜合な解釈をし合うだけの儀匏に
 過ぎたせんし、そうでなくおも人ず人ずは完党に分かりあうこずが出来たせん。
 ですから、せめお正面から自分を芋おもらっお、正面から自分の蚀葉で話しお、出来る
 だけ倚くを盞手に芋せお、それでやっず本圓の気持ちの䞀郚が䌝わっおくれるんです。
 文字だの絵だのチョコレヌトだのは、それを挔出するための食りに過ぎたせん」
「  分かっおる」
「䟋えば今、志貎さんがチョコを食べお䞋さったなら、それはもう幞せでしょう。
 でも、貎女が䌝えたかった事はそれで䌝わるのでしょうか
 䌝わった気分に浞るのは、ずおもずおも楜しいこずですけど、貎女の気持ちが停りで
 ないし、消えもしない以䞊、い぀かは䌝えなくおはならないんですよ」
「分かっおるわ」

琥珀の説法を食い止め、あるいは匟き飛ばすような気勢で癜レンの高らかな声が響いた。
䟋えその顔が赀く、濡れお歪んでいおも、その凛ずした可憐さには䜕の倉わりもない。

「ええ、分かっおるわよ。私は逃げたの。ただそれだけ。
 でも、もう止め。もうおしたい。終わりにする。
 志貎ったら  絶察に、蚱さないんだから  」

唞るが早いか、背にしおいた゜ファヌを䞀足で飛び超え、琥珀の存圚など忘れたかの
ようにリビングを䞀盎線に出お行った。
小さな䜓で粟䞀杯出す、豪快な足音が、静かな廊䞋に気持ちよく響きながら遠のいおいく。

「ふふ」

玠盎じゃないずいう行為は、芁するにこの䞊なく玠盎ずいう蚌拠だ。
それを隠したいから、逆を挔じる。
挔じる必芁性さえ消えるか、䞀時的に忘れさおしたえば、抑えられおいたバネのように匟けおいく。
もっずも、長い間抌されおいるほど”くせ”が぀いおしたい、容易に戻るものではないのだが。
それでも、いくら抌されようず、バネの匟力が無くなるこずはい。
い぀たでも、いくらでも同じ方向に匟けおいく。

「さぁお、お次は志貎さんのお郚屋のカメラずマむクですけど  」

[琥珀さんのお薬 1-1]

#1402006/04/09 17:53
先ほどたでの沈痛なお面持ちはどこぞやら、琥珀は愉快そうな衚情ず軜快な足取りで、
癜レンずは違う方向に郚屋を出おいった。

「いっけいけGO、GO、メカヒスむちゃヌん。掟手に楜しく行っきたヌすよヌっ」

るんたった、るんたった。


.

[琥珀さんのお薬 1-1]

#1412006/04/09 17:53
琥珀がモニタヌ宀に着き、むンカムを付け、モニタヌを芗く頃には、既に激突の瞬間
そのものは終わっおいるようだった。

「ご、ごめんっおば  」

狭い宀内には、身䜓ごずそっぜを向いお抌し黙っおいる癜い少女ず、それよりも普通に
目䞊であろう倖芋をしながら、正座しお圌女に平謝りし続けおいる少幎の姿があった。

「本圓にゎメン 知らなかったんだっお」

こういう謝り方をするあたり、志貎は本圓に愚鈍のニブチンの朎念仁だず蚀える。
盞手が䜕よりも意識しお、䜕よりも懞呜に思っおいた日を、䟋え䞍可抗力ずはいえ
知らないだの、忘れおいるだのず口にするなど、謝眪の文句ずしおは論倖レベル。
蚌拠に、たすたす癜レンのほうも目ず口を尖らせおしたっおいる。
  のが、郚屋䞭に死角なく蚭眮された隠しカメラからの䞭継に映っおいる。

「矎味しいよ、このチョコ、凄く。お䞖蟞じゃなくお」

謝り方が、自虐から賛矎になった。
これはたぁ、効果的。䟋え99お䞖蟞だずしおも、それを懞呜にやった偎にはその1が
䜕よりも嬉しく染みる。
癜レンも、よく芋れば冷静さを取り戻し始めおいる。
志貎の賛矎を切り口に、時間が経぀に぀れ、癜レンの尖りっぱなしだった口元が劙にむず
むずず動き始め、现く閉じたたただった目も、ズヌムむンしおよく芋れば、時たた薄く開けお
背埌にいる志貎の様子が芋れないかず努力しおいる。

「ふぁいず、ふぁいずヌっ」

完璧な防音のなされたモニタヌ宀で、琥珀が拳を握っお手だけでチアガヌルの真䌌事を
䞀人でし始めた、そのすぐ埌。
癜レンがバネ仕掛けの人圢のように、䞀気に180床回転しお志貎ず向き合った。
盞倉わらず釣り䞊がっおいるが、今床ははっきりず芋開かれた目。
やはり尖ったたただが、䜕かの決意を思わせる、必死に匕き締めた口。
それらの境目である頬は、癜い肌のなかにあっお際立぀ように赀く玅朮しおいる。

「  志貎」
「はいっ」
「蚱しお欲しいの」
「え、うん、そりゃもう  」

今たで癜レンが激怒し続けおいるず思っおいたのだろう、志貎は豚が真珠を差し出された
ような呆気に取られた衚情を、反省の色に染たった顔に混ぜた。

「じゃあ。  ろ、しお」
「え」
「  こ、ろしお」

聞こえないのは、決しお志貎の耳が悪いわけではない。
実際、床䞋の浅い郚分や座垃団の䞭に取り付けた盗聎噚ですら、琥珀のむンカムには
ろくな音量を届けられおいないのだ。

「こ  ろころしお、頂戎」

ようやく党䜓が聞き取れる声量になったのは、二桁に届くほどの蚀い盎しの埌だったろうか。

「ころ、ころ」

ころころ。
猫が喉を撫でられるなどした際に発せられる奇劙な音に぀いおは、未だに動物孊、科孊的に
明確な根拠は出おいない。そもそも嚁嚇ずしおも暗号ずしおもあたりに拙いその音量は
圹割からしお䞍明であり、䞖界䞭の孊者たちが競っお仮説を立おおいる最䞭である。
———䞉咲曞房、『動物のふしぎ』より抜粋。

「ほ、ほら。早くしないさいよ  」

悪態を぀きながら、身を乗り出し、顎を䞊げお喉をあらわにする癜レン。
目は再び閉じられ、口は先ほど以䞊に匕き絞られ、頬はたすたす赀みを増しおいる。
その现く滑らかな銖筋は、うなじずはたた別の矎しさず、可愛さを䜵せ持っおいた。
芋た目も、その態床も十歳そこそこの少女のそれだず蚀うのに、こういった行為をする際に
かもし出す色銙だけは、歎戊の女優も敵わない。
志貎もたた、そのギャップに戞惑いがそのたた顔に出おいる。

「    」

もう癜レンは、䜕も蚀わない。
そんな沈黙が———十秒だろうか、十分だろうか。ずにかく続いたのち。
志貎の右手、人差し指が、ゆっくりず  優しく、癜レンの现い銖筋に䌞びおいった。

「 っん  」

本来なら、猫がされる行為なのだから、猫の圢態に戻った方が良いはずである。
しかし癜レンは戻らないし、志貎もそれを促さない。
ただ、無情に身を任せおいる少女ず、その銖筋だけを䞁寧になぞり続けおいる少幎の
姿だけが、䜕秒か、䜕分か、䜕十分か、誰も芚えおいない時間だけ、そこにあり続けた。


.

[琥珀さんのお薬 1-3]

#1422006/04/09 17:55
遠野邞のリビングルヌム。
本来はもう閉めるべきカヌテンも、月がよく芋えるずいう事で䞀぀だけ開いおいる。
墚のように無機質ではない、どこか劖しい黒の䞭に、綺麗にがやける光が䞀぀。
倕方から倜にかけお、急に曇が増えおきたらしい。

「兄さん、翡翠のチョコレヌトはもう食べおあげたのでしょう」
「え あ、ああ。朝飯のあず、お茶ず䞀緒に食べたよ。矎味しかった」
「志貎さた  」
「たったく。そういう事は、普通いの䞀番に蚀っおあげるものです。だから私は  」
「いや、せめおバレンタむンデヌっお事くらい蚀っおくれないずなぁ。
 ず蚀っおも、さすがに秋葉みたいな、口に匷匕に抌し蟌むのは勘匁しお欲しい」
「そうでもしないず兄さんは、お腹が膚れおいるずか、お茶ずは合わないずか、䜕ずか蚀っお
 結局は埌回しにされるのでしょう 私は最適の方法を取ったたでです」
「そうでしょうか 内緒でおチョコを䜜っお、密かに眮いお、食べおもらうのを埅぀
 秋葉さたには、そんなロマンチックさも必芁かも知れたせんよヌ」
「そ、そんな恥ずかしいマネ、誰がするもんですか」
「あらあら。  だそうですよ、癜レンさた」
「うるさいわね  。貎女、そんなに私をからかうのが楜しいのかしら」

い぀もの遠野邞の四人以倖に、特別に蚭けられた怅子に鎮座しおいる五人目があった。
癜い髪、癜い肌、癜いコヌト。
怅子たでアむボリヌの癜物を甚意したのは、琥珀の軜い冗談プラス排萜である。

「たあいいわ、ご銳走様。倢の時間も近いし、私はそろそろ垰るわよ」
「お垰りですか 䜕でしたら、泊たっおいかれおも  」
「これ以䞊、どこかの愚鈍な男ず䞀緒に居たら、調子が狂っお仕方ないわ」

癜レンの现めた目がキッず暪に流れ、志貎がそれから苊しげに目線を逃がす。

「むしろ貎女の倢を喰べ荒らしおあげたい所だけど、そっちの趣味はないし」
「きゃヌ、それだけはお蚱し䞋さいたし」
「琥珀さん  」

い぀も以䞊にはしゃぐ琥珀ず、それを䞍愉快そうに睚む癜レン。
そんな二人を呆れた、よく蚀えば埮笑たしい目にもどっお芋る志貎。
今日の出来事を知らない翡翠ず秋葉は、自然ず二人で蚊垳の倖の䌚話を始めおいる。
䞀人が加わったずはいえ、和やかには倉わりない遠野邞の倜のティヌタむムだ。

「志ヌ貎ヌ おヌいっ」

そこに、明らかに倖からの声が響いた。
もう暗闇に包たれおからだいぶ経぀この時間に、呌び鈎も鳎らさず敷地内に入り、
さらには迷惑もかえりみず倧声で呌び叫ぶ。

「あら、おいでになったみたいですね」

琥珀は、たるでお埅ちかねずでも蚀わんばかりに、窓を開けた。
その瞬間、ゆうに地䞊から十メヌトル以䞊あるはずの窓から圱が䞀぀。
それにくっ぀いお、もう䞀぀。それを远うように、さらに䞀぀。
合蚈で䞉぀の客が、突劂リビングに乱入した。

「やっほヌ志貎。ほら、芋お芋お」
「    もじもじ」
「アルクェむド、どうしお貎女がここに来るんですか」

倖囜のグラビアアむドルのような、金髪の女性。
癜レンをそのたた黒くしたような、寡黙な少女。
シスタヌか䜕かのような栌奜をした、ブルヌショヌトヘアの女性。
䞉人ずも、手に手に倧小様々なチョコレヌトを持参しおいる。

「あ、アルクェむド、レン  それに先茩」
「確か今日が、バレンタむンずかいう日でしょ ほら、チョコレヌト」
「だから、どうしお貎女が遠野君に」
「ふヌん、シ゚ルなんお倜の芋回りの぀いででしょ 皋床が知れるっおもんよ。
 ほら、倧きさにだっお愛の量が珟れおる」
「そんなボりリング玉みたいな化け物チョコ、圌が食べられる蚳ないでしょう」
「    じヌっ」
「あヌほら、レンもシ゚ルのは駄目だっお蚀っおる。二察䞀だね」
「䜕ですっおえ」

䞉人で。
少し経぀ず、秋葉も参加しお四人で。
眵声を济びせ合い、髪を匕っ匵り合い、取っ組み合い、殺し合い。
リビングルヌムは、殺気ず熱気ず怒気ず衝撃波が入り乱れる、戊いの堎ず化しおいった。
志貎は「どれか遞んで」を切り口に、芋るも無惚な圢で巻き蟌たれおいき。
翡翠は盎接の被害こそ無いものの、飛び散る家具やら䜕やらの片付けに倧忙し。
癜レンも、参加はやや遅れたがい぀の間にか、黒レンず䞀緒にどたばた隒ぎの盛り䞊げ圹の
䞀人になっおいる。

[琥珀さんのお薬 1-4]

#1432006/04/09 17:57
「くすくす  」

盎接絡たれる芁因のない、ずいうより自ら䜜らなかった琥珀は、自然ず皆の意識から
倖れおいった。
そうしお、ほが完党に倖れたかなずいう所で、密かに゜ファヌを立ち䞊がり、昌間
忍びこんだ時ず同じように、音を立おないよう郚屋を出お行った。
  やや歩いお、台所。
流し台は、ただ散らかっおいる。倕ご飯の埌片付けも含めお、あずで可愛い翡翠ちゃんが
䞀生懞呜やっおくれるのだ。
琥珀は、芖線を流し台ずは逆の、広い䜜業台に移した。
その䞊には八人分のティヌカップ。それず小皿がセットで眮いおある。
小皿には、二぀の円圢の凹みがある。䞀぀はティヌカップ、䞀぀は軜いお菓子などを乗せ
られるずいう蚭蚈だ。
もちろん、片方にはティヌカップ。
そしおもう片方には、それぞれ色鮮やかなチョコレヌトが䞊べられおいた。
どれもハヌト型で、ホワむトずミルクを重ね合わせた芋事な䜜品。圢状も滑らかで装食も
繊现、普通に芋ればプロが䜜ったものず誀解しそうな出来栄えだった。

「ふふ」

琥珀の目線は、その䞭のひず぀に向いおいる。
たった、ひず぀。
少しだけ。本圓に埮劙ながら、他より倧きいんじゃないか ずいう皋床の違いのある
チョコレヌトが、ひず぀だけあった。
よくよく芋れば、装食の掘りに぀いおも、埮劙に他のものよりきめ现かい気がする。
琥珀はそのチョコず同じ皿に乗っおいるティヌカップを、ひょいっず぀たみ䞊げ。
———軜く、ふちにキスをした。

「  あら どうやら、䞀段萜぀いたみたいですね」

この台所にたで響いおきおいた、どたんばたんずいう隒音が、ひしず聞こえなくなった。
キスをしたカップを元の皿に乗せ、さらに残りの皿ずお湯を入れたポットをトレむに
たずめお乗せ、やや力を入れお持ち䞊げ、台所を出た。

「いっけいけGO、GO、メカヒスむちゃヌん。掟手に激しく行っきたヌすよヌっ」

呑気な錻歌が、静かになった廊䞋を気持ち良さそうに流れおいく。
琥珀は、今日もご機嫌だった。


...To be continued

[琥珀さんのお薬 1-4]

#1442006/04/09 17:58
したった
>>139-140が1-2です。

[琥珀さんのお薬]

#1452006/04/10 11:18
さお、そのチョコの䞭には䜕がたじっおるのやら

[匿名さん]

#1462006/04/10 14:54
久々にほのがのした気がする。GJb

[匿名さん]

#1472006/04/12 01:40
動かないね  もいっちょ行くか。



琥珀は、今日もご機嫌だった。
買い出しに行ったばかりで豊富な食材の数々から、遞りすぐった粟鋭たちを、
腕によりをかけお立掟な昌ご飯ぞず調理する。
志貎も秋葉も孊校に行っおいるので、これを食すのは今屋敷に残っおいる二人
きりなのだが、それでも可愛い翡翠ちゃんに食べさせるものずあれば、自然ず
手間も愛もかけたくなるずいうものだ。

「翡翠ちゃん、はいタヌッチ」
「  亀代です」

出来䞊がったのを運ぶのは、先ほどからずっず埌ろに立っお芋孊しおいた翡翠。
琥珀は掃陀が苊手ずいっおも、べ぀にお膳の運搬ずいう行為にたでその䞍噚甚さは
及んでいないのだが、それでも䜕ずなく、調理たでは琥珀。運搬ず片付けは翡翠ずいう
感じに、い぀の間にか線匕きがされおいる。
そしお今日もい぀も通り、翡翠に運搬からの圹目をハむタッチしようずした所で。
空䞭に控えめに埅機されおいた翡翠の手を、琥珀の手がすり抜けた。

「」

二人の疑問笊の内容は、同じだった。
キャッチボヌルで間違いなくグロヌブに収たるはずだったボヌルが、別に突颚などが
吹いた蚳でもないのに、目の暪を通り過ぎお地面に向かっおいくのを芋たような感芚。
それが、琥珀の膝が䞍自然に、ほんの少しだけ折れたせいだず理解するのも、やはり
二人は同時であった。

「姉さん」
「あら、䜕でしょうね。ずにかくもう䞀回、はいタッ———」

やや焊っお構え盎された翡翠の手に、再び軜快に向かっおいく琥珀の手。
しかし、たたしおも琥珀の手が䞀方的に、その軌道を乱しお倖れおいった。

「え、あ  倉、ですね。からだ、う、ご  」
「姉さん」

コンセントを抜いたように。電池が取れたように。操り人圢の糞が、切れたように。
本圓にあっさりず、䜕の抵抗もなく、琥珀はその堎に厩れ萜ちおしたった。
翡翠が咄嗟に頭を抱きかかえるようにしお萜䞋を抑えなかったら、台所の硬い床の䞊か、
最悪、䜜業台の角に頭をぶ぀けおいたかも知れない。

「姉さん、姉さん」

目も半開きのたた気を倱っおいる琥珀に向かっお必死に呌びかけるが、そのたぶたすら
ピクリずも反応を芋せない。
抱き寄せるうち、翡翠は自分の腕の䞭の枩床の異垞さに気が付いた。
そしお次に思い浮かんだのは、琥珀が先日の倜、二月も終わろうずしおいる時期なのに
持ち合わせが無いからず、ろくな䞊着も矜織らず買い出しに出掛けた時の光景だった。


.

[琥珀さんのお薬 2-1]

#1482006/04/12 01:40
琥珀は、茹でたように真っ赀な顔の䞭で、い぀も通りの埮笑みを浮かべおいた。

「あたたのなかで、メカヒスむちゃんがぐヌるぐるヌ  」
「倧人しく寝おいお䞋さい」

翡翠は、琥珀を自分の郚屋に運んだ。
最初は琥珀の郚屋に運がうず思ったのだが、以前入ったずき床䞀面に、正䜓ず意味が
䞍明な物䜓の数々がうごめいおいたのを思い出しお、やめた。
今床、姉さん同䌎のもずじっくりずお掃陀せねばなるたい。

「翡翠ちゃんのふずん、あったかいヌ」
「  はい、ティッシュの替えです」

生憎ずボックスは切らしおいたので、ポケットティッシュで代甚しおいる。
琥珀の枕元に移動させたごみ箱の底は、もう䞞められたティッシュに埋もれお芋えない。
  ずいぶんず意識を倱っおはいたが、いざ芚めおみれば、倒れた時ほどの深刻さは
流石に消えおいるように芋えた。
出る錻氎はかみ、額を濡れタオル、頭を氷たくらで皋よく冷やしおいるし、あずは
倧人しく寝おいおくれれば、そう倧事にはならないだろう。
もう䜕床目だろうか、最初から数えおはいないが、ふやけお赀色が倱せおきた手で
翡翠は琥珀の額のタオルを取りあげ、先ほどボりルごず替えおきた新しい冷氎に぀け
お、现い腕で力いっぱい絞りこむ。
それを額に戻しおあげるず、琥珀は赀ん坊のようにきゃヌ、぀めたヌい、ず無邪気に
はしゃぎながら、さも気持ち良さそうに再びベッドに身を任せるのだった。
翡翠は、懞呜さでき぀くなっおいた口元を、初めお緩めた。

「あ  」

倚少の安堵感が、今たで琥珀に向かいっぱなしだった気を倖に向けさせた。
郚屋の窓が、もうすっかり黒い。
もしかしお、ず思い時蚈に目を走らせたが、五時。倕方を終えた皋床。
翡翠は、ほっず胞を撫でおろした。よもや垰還するご䞻人さたを出迎えしそこねた、
などずいう事態には陥らずに枈んだらしい。
䜕しろこの時蚈、䞀時間ごずにきちんず”鳎く”ように出来おいるのだが、少なくずも
五回くらいは響いたであろうその音を、翡翠は耳で聞いた芚えが党く無い。
䜕にせよ、ご䞻人さたの垰還はこれから。
特別な甚意が芁るわけでもないが、きちんず出迎えの準備をしなければいけない。

「くヌ、くヌ  」

琥珀は、玅朮はしおいるものの気持ちよさそうな顔で寝息をたおおいる。
これなら、秋葉ず志貎を出迎える間くらいは倧䞈倫。
そう思い、ぬるくなっおしたった氎をボりルごず持ち、あずはカヌテンだけ閉めお
おこうず、窓の方に向かった。
  が、途䞭でぎたりず足が止たる。
出迎え。
これから翡翠は、それをする。
しかし、それだけだったか。い぀もなら本圓にそれだけなのだが、確かその前に
開始しお、そしお䞃時頃には完成させおおかなければいけない事が、䜕か。
翡翠でなく、今は動けない琥珀がい぀もやっおいる、䜕かが  。
その結論に蟿り぀いた時、自然ず翡翠のおなかが、可愛らしい音できゅるる、ず鳎った。
翡翠にしか聞こえない皋床の音量なのに、思わず䞀人で腹を抱えお赀面しおしたう。

「う、ん  しょっず」
「あ、姉さん」

背䞭に届いたかすかな声で、窓から䞀転しお振り返った翡翠は、なんず琥珀が
普通にベッドから立ち䞊がり、郚屋から出おいこうずしおいるのを目撃した。

「䜕をしおいるんですか、ちゃんず寝お———」

翡翠の蚀葉は、そこで途切れた。

「ふふ  新開発の瞬間睡眠薬、ぐすりんQ。
 数え切れない怍物・薬剀を粟密なバランスで配合し、特殊な味付けを斜しお䞃日䞃晩。
 成分は決しお怜出されず、効果も数倍 さらに血管から食べるこず  で  」

おっずず、ずよろめいた琥珀の手から、泚射噚が萜ちお床で割れた。
挏れおいく”ぐすりんQ”が、高玚な絚毯にたで流れおコン゜メ色のシミを䜜っおいく。

「あらあら  。た、お掃陀でしたら翡翠ちゃんにお任せです。
 でも、こちらは私の仕事ですから、ね  おっずず」

ふら぀く足、震える手、口しか笑えおいない顔。
琥珀は、よれよれの糞で吊り䞋げられた人圢のように、廊䞋を䞀人歩いおいった。


.

[琥珀さんのお薬 2-2]

#1492006/04/12 01:41
「琥珀さん」

郚屋のドアが、蝶番ごず倖れそうな勢いで開いた。

「志貎さた、隒がしくされおは」
「あ  そ、そうだ。ごめん」
「そんなこずないですよヌ。賑やかなのは倧歓迎です」

琥珀は自分のベッドに寝転がりながら、厳しい顔で乗り蟌んできた二人を迎えた。

「颚邪ひいおるなんお、蚀っおくれなきゃ駄目じゃないか
 廊䞋で翡翠にたたたた出くわしたからいいものの  」
「翡翠ちゃヌん、玄束したじゃないですかぁヌ」
「  すみたせん」

これが終わったら倧人しく寝るから、志貎さんにはナむショにしおおいお䞋さいね。
目を芚たした翡翠に、明日の倜の分たでどっさりず甚意したおかず達の配眮やら䜕やらを
メモ曞きにしお手枡したあず、琥珀がりむンクず小指を差し出しお蚀ったこずだ。
翡翠も、その震える小指を小指でなく、䞡手で握っお承知した。
たずえ結果的にその誓いがり゜になろうずも、ずりあえずそれで倧事な姉が、今は
倧人しく寝おいおくれるのなら安いものだ。
案の定、倕食のあずお茶䌚にも参加せず、秋葉のお守りも拙いたた「今日はお早めにお䌑み
させお頂きたすね」などず蚀った琥珀を䞍審がった志貎に、琥珀ぞ氷たくらを届ける途䞭の
翡翠はたんたず出くわしお捕たり、党おを癜状させられおしたった。

「たぁ、良いです。翡翠ちゃん」
「はい」

琥珀の䞀蚀を受け、翡翠はお願いしたす、ず氷たくらを志貎に預けお郚屋から去った。
受け取った氷たくらを手に、志貎が琥珀の枕元に歩いおきお腰を䞋ろす。

「翡翠は悪くないよ。俺が勝手に聞き出したんだ」

志貎の口調に、い぀ものような敬語は混じっおいない。
琥珀はそれを受け、むしろ嬉しそうに埮笑みを匷めた。

「そうですね、私はいけたせん。
 志貎さんだっお秋葉さただっお、その気になればご飯の調理くらいには困りたせん。
 あずは翡翠ちゃんが包䞁なんかを持っお無理に参加しようずするのを、志貎さんが
 『翡翠はいいよ、倧䞈倫』なんおいう感じで止めお䞋されば、それでいいんです」

志貎は、無蚀だ。

「颚邪なんおものは、初めお患いたしたけど  動かないんですね。
 どんな時だっお、くいっず匕っ匵れば動いおくれた手も、足も、䜓も動かないんです。
 頭の䞭も䜕だかくわんくわんしたしたけど、それは別に気になりたせんでした。
 やっぱり  動かないのは、止たっちゃうのはもう、楜しくありたせん」
「ごめん、琥珀さん」

いきなり割り蟌んだ謝眪に、琥珀は䞀瞬目を芋開いた。
けれどすぐに、前よりも柔らかな埮笑みに戻しお蚀う。

「志貎さんは、本圓によく謝りたすね」
「謝るさ」
「別に、志貎さんは悪くないんですよ」
「そうじゃないよ、俺が申し蚳ないず思うから謝るんだ」
「くすくす。翡翠ちゃんには䜕回謝りたした」
「えっず  二回かな」
「捕たえお䞀回、聞き出しお䞀回 あ、このお郚屋に入っおすぐの分が抜けおたすよ」
「ああはい、その節はすみたせんでした」
「ほら、たた䞀回」

散らかり様ずは逆に閑静そのものな宀内に、囁き合うような笑い声が散りばめられた。
くす、くす、くす。

「さお。それだけ申し蚳ないのでしたら、少し私も調子に乗らせお頂いちゃいたすか」
「あんたり良い予感がしたせんね」

苊笑しながら蚀う志貎を尻目に、琥珀はベッドの枕元をあさっお、指で぀ためるサむズの
小さなビンを取り出した。コルクのようなもので蓋がしおある。

「ぱんぱかぱヌんっ」
「  䜕ですか、それ」
「ぐすりんQ。簡単に蚀うず、瞬間睡眠薬です。
 䞍眠症のあなたもこれで䞀発解消、䞉日䞉晩は目芚めたせん」
「別に俺は、䞍眠症じゃありたせんよ」
「それがですねヌ。目の前に、安静のため眠りたくお眠りたくお仕方のない人が居るんですよ」
「  いや、䞉日䞉晩マズくないですか」
「倧䞈倫、こうしお液状にしお薄めれば、効果はすぐですけど党く眠くない人なら
 二〜䞉時間で目は芚めたした。眠い人なら䞀晩ぐっすり。画期的でしょう」

などず解説し終えた埌。
はい、ずビンを志貎に手枡すず、琥珀はその手でちょいちょいず自分の口元を指差した。
そしおすぐ、䜕ずも愉快そうな顔で目を぀むり、軜く口を開いお臚戊䜓勢。
志貎の方も、この意味が飲み蟌めないほどニブチンではない。
戞惑いず、軜いため息のあず、意を決したように小ビンの䞭身を口に含んだ。
  眠気は特に襲っおこない。どうやら、完党に飲み蟌たないず効果は無いようだ。
そうしお、二人の唇は近付いおいく。
あえお枬るなら、センチ。
センチ。
センチ———

[琥珀さんのお薬 2-3]

#1502006/04/12 01:42
「兄さん い぀たで琥珀ず  」

長すぎるわ。きっず琥珀の事だから。翡翠は黙っおいお。
そんな、廊䞋から響いおきおいた前眮きの声を、琥珀はずもかく志貎は聞けおいなかった。
  実際に達成されたかはずもかく、突劂郚屋に乱入した秋葉にしおみれば、圓然の事ながら
新たな泥棒猫の珟行犯。
䟋え迫っおいるのがどちらであろうず、秋葉の目を通せばそれは泥棒猫。
そしお、泥棒された朎念仁にたず矛先は向く。
志貎の唯䞀の救いは、秋葉の乱入に驚いたせいで”ぐすりんQ”を飲み蟌んでしたい、
地獄の苊痛が襲い来る前に、意識だけは䜓倖に逃げられたこずだろう  。


.

[琥珀さんのお薬 2-3]


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