兵庫県警、融資金4000万円の詐欺事件で「司法取引」適用…警察捜査で初めてか
兵庫県警が昨年11月~今年2月に税理士法人の税理士や職員らを逮捕した融資金詐欺事件があり、捜査に協力する見返りに刑事処分を免除・軽減する日本版「司法取引」(協議・合意制度)が適用されていたことが、捜査関係者への取材でわかった。2018年の導入後、司法取引の適用が明らかになるのは4例目。これまでの3件はいずれも東京地検特捜部による事件で、警察が捜査した事件では初めてとみられる。
事件では、20年10月~21年2月、銀行に虚偽の決算報告書を提出するなどし、融資金4000万円を振り込ませてだまし取ったとして、兵庫県警が同県内の自動車販売会社の元社長(37)や税理士法人の税理士(48)、男性職員(40)らを詐欺容疑で逮捕した。
捜査関係者によると、男性職員が税理士の関与について供述する見返りに起訴を見送ることで司法取引が成立したという。神戸地検は今年2月、男性職員を不起訴(起訴猶予)とした。
司法取引は捜査対象者や容疑者らが検察との合意に基づき、他人の犯罪について供述したり、証拠を提示したりして捜査や公判に協力する代わりに、自分の刑事処分を軽くしてもらう制度。10年に発覚した大阪地検特捜部の証拠品改ざん事件をきっかけに、刑事司法制度改革の一環として、18年6月に導入された。
司法取引は会社ぐるみの経済犯罪や振り込め詐欺などの組織犯罪を解明するための「武器」として期待される一方、ウソの供述で無実の人が冤罪(えんざい)に巻き込まれる恐れも指摘されている。
4/5(金) 22:32配信
読売新聞オンライン
兵庫県警察本部