■ラオックスグループ
東京23区に火葬場は9カ所ある。
7カ所が民営で、そのうち6カ所を運営するのが「東京博善」だ。
安倍晋三元首相が荼毘に付されたのも東京博善の「桐ケ谷斎場」だった。
皇族と縁の深い「落合」や「代々幡」なども管轄する東京博善が、今夏から、中国系企業に様変わり。
葬儀業界は不測の事態に見舞われることとなった。
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東京博善が運営する火葬場は需要には事欠かず、売上高は年間93億円超。
純資産355億円という超リッチ企業である。
親会社は、印刷事業が中核の「広済堂HD(ホールディングス)」だ。
2019年7月、広済堂大株主の「エイチ・アイ・エス」澤田秀雄会長が所有株を手放した。
売り先は中国人実業家、羅怡文(らいぶん)氏率いるラオックスグループの「グローバルワーカー派遣」なる人材派遣会社だった。
以降も買い増しを続けたグローバルワーカー派遣は筆頭株主に。
共同保有者の「R&LHD」と併せれば、羅氏の保有する広済堂株は25%超に達した。
今年1月には、広済堂が羅氏関連の投資会社に第三者割当増資を実施。
その結果、羅氏は40%超の広済堂株を押さえ、必然的に東京博善も勢力下に収めたのである。
■締め出し
23区内に拠点を持つ葬儀業者によると、「これまで、火葬場を利用するには、まず葬儀業者に依頼しなければなりませんでした。東京博善は葬儀事業に手を出さず、業者との間で棲み分けができていた。ところが、今年7月から、東京博善でも葬儀が執り行えるようになりました。広済堂が大手葬儀社の“燦HD”と手を組み“グランセレモ東京”という合弁会社を設立したからです」同時に、東京博善は葬儀業者向けに「ウェブサイト掲載ガイドラインについて」なるものを示した。
葬儀業者は、東京博善の斎場をウェブでの宣伝に用いることを禁じられたという。
「違反を続けると締め出しを食らうとのことでしたので、やむなくガイドラインに従った。その結果、月3000万円前後だった東京博善での売上が一気にゼロに落ち込みました」葬儀業者は青息吐息の経営状況に追いやられる一方で、東京博善が荒稼ぎを加速させるのは間違いない。
【日時】2022年10月13日
【ソース】デイリー新潮