「どうしてこうなった…」
私は先ず心を落ち着かせる為に煙草に火を付けた。
「あひぃ!!」
箱を覗くと1本しか煙草が無い。これはもう無理。どう頑張ったって無理。もうゴールしてもいいよね…?私はtaspoと1000円を持ち自販機へと向かった。
残金680円。
[(゚д゚+)パンナコッタ]
正直パチンコでも行って増やそうと思ったのだが680円じゃパチンコも打てない。
しかしパチンコに行ってたら1000円が0円になった可能性だって充分にある(むしろ行かなくて良かった!)
「680円じゃご飯食べたら終わるレベルw」
そう呟きながら私は家で今すぐ働ける日雇いのバイトは無いかとパソコンで調べる事にした。
インターネットが繋がらない…?
しまった!!プロバイダに金払ってねぇ!!!ネット出来ないんじゃ暇潰せない!!!
携帯は幸い料金を払っていたので大丈夫だ。私は久々に昔入り浸っていた掲示板に顔を出すことにした。
[(゚д゚+)パンナコッタ]
【198*年、冬】
「生まれたお(^ω^)」
「あれ?泣かない?」
「ねぇ何で泣かないの?ねぇねぇ!」
「落ち着いて下さい」
「大丈夫なんですか?」
「逆さにして尻を叩けばきっと泣きます」
「やって下さい」
ペチペチ
「…泣いた!!!!」
その時から全て狂い出していたのかもしれない。
[(゚д゚+)パンナコッタ]
「嫌な事を思い出してしまったな…」
私は何故か産まれた時の記憶がハッキリとある。その後の記憶や幼少の記憶は全く無い。もしかしたら産まれた時の記憶はただの夢かもしれない。しかし、どれもリアルだ…。医師の手に足首を掴まれた感触。尻を叩かれた感触。母の体内。血の匂い。そして止まっていた呼吸。
全て鮮明に思い出せる。夢では無いと信じたい。
「それよりも掲示板に書き込もう!スレ立てるお」
掲示板のスレッド一覧を見た。昔と何ら変わらない。私は変わらないこの掲示板を見て安心した。
もう8年前か…。この掲示板を知ったのは。
[(゚д゚+)パンナコッタ]
当時の私は今よりも感情豊かだった。沢山人を好きになり、沢山友達と遊び、沢山悪い事をして、何をしていても表情が有った。何をしていても楽しかった…という訳では無い。
しかし生きている実感がとても有った。沈んだ時もあるが、輝いていた様に思う。
「今日は昔ばっかり思い出してるなぁ(笑)」
きっと今余裕が無いのだろう。昔を懐かしむ事でお金が無い現実を忘れようとしている。
逃げちゃ駄目だ。
逃げちゃ駄目……?
逃げてもいいのでは無いだろうか。現実から目を背ける事はいけない事では無いんじゃないか?
選択肢が沢山ある現実にうんざりした。
[(゚д゚+)パンナコッタ]
スレを立てた。タイトルは【久しぶり!】普通の他愛の無いスレッドだ。しかしレスは付かずに沈んでしまった。
「暇だなぁ…」
お金を遣わない暇潰しが出来なくなっていた。
「誰かにお金を借りようかな…」
しかし借りてしまえば返さなくてはいけない。今この現状で借りても、貧乏には変わり無いからまた今みたいな状況になる。ではどうすれば5日間過ごせるのか…。私は煙草に火を付けた。時刻は午後20時。もうすぐ1日が終わる。寝てしまえばあと4日間の我慢だ…そう思ったから今日は早く寝ようと思う。
[(゚д゚+)パンナコッタ]
午後22時…。今日は食事をとって無い。前に知人に貰ったお土産のせんべいやらまんじゅうやらで空腹を誤魔化している。
「結構沢山あるからいけそうだな!」私はポジティブになった。
そして眠気が来ない。早く寝てしまいたいのに。起きていても食事は食べられないし喉も渇くし煙草も吸うしいい事が無い。
「あ…!」
以前不眠症だった時に処方された睡眠薬がまだ沢山残っている筈だ!飲むしか無いと思った。飲めば眠れる。
私は薬を2錠取り出して飲み込み布団に入った。
「あと4日で680円…。ムリポ」
そう呟きながら眠気に襲われ、記憶が消失した。
時計は午前0時を指していた。
[(゚д゚+)パンナコッタ]
夢はみなかった。長い間眠っていた気がする。
でも何だろう?私座ってる?何か…食べてる??
はっと気付いたら私は牛丼屋に座っていた。牛丼を食べていた。
牛丼屋に行った覚えは無い。時計を見ると午前3時。
やってしまった……これが初めてでは無い。前にも一度あったのだ。
睡眠薬を飲み効いてくると副作用的な物でフラフラと外に出てしまう事がある。そしてただ歩いてるだけだったりこうやって物を食べたり…。前はここまでお金には困っていなかったから別に良かったが、今はヤバイ!!牛丼いくらだ!!さっさと残りを口に掻き込み、会計を済ませようとした。
「350円です」
まだ安かったけど、680円しか無いのに、残金が330円になってしまう…!!無理だ…。そう思い私は財布を忘れたフリをしようと思った。
[(゚д゚+)パンナコッタ]
よく店内を見ると近所の牛丼屋では無かった。近所じゃなくて良かった…。私は白々しい演技をしようとした。
「あのぅ、すみません。財布を忘れてしまったみたいで…。取りに戻っても宜しいでしょうか??」しまった…危機感が足りない。普通に喋ってしまった。
「困りますよーお客さん。ポケットとかに小銭入ってませんかね?」店員は困惑気味の口調で問いかける。
無いっつってんだろ!!そう思いながら店員の顔を見た。ん?見覚えがある顔だな…。
あれ??名札に【K村】って書いてある…。
「もしかして高校一緒だったK村くん?」
そう聞くと
「あー!久しぶり!!元気してた!?」と返ってきた。
「本当に久しぶりだね」と私が言うと
「かなりね。どうしたんだよ同窓会も顔出さないで…。7年ぶり位か??」とK村くん。
K村は高校時代にかなり仲良くしていた人だ。
これはいけるかもしれない。私は言った。
「久しぶりついでにお金貸して!!!!」
[(゚д゚+)パンナコッタ]
私は家に居た。そして1万円札を見つめてる。
「そういうば高校の時にお前に1万円借りっぱなしだったの忘れてた。今返すよ!」K村が言った。
お金を貸していた事なんてすっかり忘れてた!そして金を貸したK村に偶然に出会う…。これは偶然なのか?奇跡じゃないのか?
とにかく私は救われた!1万円あれば充分だ。
これは確実に睡眠薬のお陰だ。睡眠薬の副作用でフラついていなければ1万円は手に入らなかったのだ。
睡眠薬のお陰なのかわからないけれどとにかく助かった!!牛丼代金もK村が奢ってくれたし、今度から困ったらK村に頼ろうと思った。きっとあいつならお金も貸してくれるだろうし、頼りになる筈だ。
持つべき物は友達だ。
[(゚д゚+)パンナコッタ]
「ええ知ってます」
「高校以来会ってないですね」
「はい。借りっぱなしです(笑)」
「今からですか?今は僕バイト中でして…」
「○○町○番地の牛丼屋です。」
「わかりました」
…「今の電話、誰がかけてきてたんだ?多分女の声だった。非通知だからわからないな。何故俺の番号知ってたんだ?あいつの知り合いなのは間違いないだろうけど、わざわざこんな回りくどいやり方しなくても普通に言ってくれたら返すのに。」
疑問が残るがバイト中だからこれ以上サボる訳にはいかない。とは言っても誰も来ない。俺は携帯でゲームをしていた。
[(゚д゚+)パンナコッタ]
「いらっしゃいませ!」
お客だ。多分女…だよな?あいつか?
帽子を深く被ってる上にゆったりした服を着てるものだから性別がわからない。注文を聞いてもメニューを指指すだけだった。声すらもわからない。あいつだったら俺に気付いて金返せと言うだろうし…まぁいいや。俺は普通に仕事をした。
[(゚д゚+)パンナコッタ]
「あのぅ…すみません…」
やっぱり女か!あいつなのか?久々すぎてわからないな。あいつじゃなかったら食い逃げは許さない。
「困りますよ…」
「もしかして…K村くん?」
やっぱりあいつか!!
それにしても……かなり変わったな…。街で見かけたらわからないよ。多分。
昔の方が可愛いげがあった。もう7年だから仕方ないか…。
金を返して奢ってやってから、「そういえばお前が金を回収しに来るって連絡あったんだけど、あれ誰?」
答えを求め振り返るともうあいつは居なくなっていた。
早く帰って寝たい。
[(゚д゚+)パンナコッタ]
なんか面白い。
小説応募したら採用されそう。
私的にはこの続きを読みたい。
[匿名さん]