📖 創作･携帯小説

「大好きです」

喋る人形。

「僕に操られて君は幸せかい」

「幸せですよ」

おっと。

これはただの人形なのに。


（僕は馬鹿げてる）

“さよなら”

彼女はその一言を告げて深い眠りにつきました。 その言葉は誰に告げたモノなのだろうと僕はひた すら悩み、泣きました。

彼女の言葉が僕に向けられたモノなら、そうなら

（良かったのに）

彼には愛する女性がいた。
そして彼女もまた、彼を愛していた。

二人に幸せあれ。
なんてね。

（私だって彼を愛してるのに）

○月○日（日）
今日わ、ぼくは、かぞみみんなでうみに行きました。
たのしかったです。
ひやけは痛いけどまた行きたいです。

○月○日（月）
今日わ、しゅくだいお忘れて学校でせんせーにおこられてしまいました。
これからわ、ちゃんとやらなくちゃと思いました。

○月○日（火）
今日わ、体のちょうしがわるくて学校を休んでしまいました。
おかーさんが、びょういんにつれていってくれました。
びょういんのせんせーわすぐになおるといっていました。
早くなおして学校の友達に会いたいです。

○月○日（水）
今日も学校おお休みしました。
またおかーさんとびょういんえ行きました。
びょういんをでるときにおかーさんが泣いていました。

○月○日（木）
今日も学校お、お休みしました。

○月○日（金）
おかーさんが泣きながらぼくとこの日記おびょういんにおいてきぼりにしてかえってしまいました。
ぼくもかなしかったです。

○月○日（火）
今日わ、体がうごかなくなりました。
もう日記もかけないのかな？



○月○日（ ）

ぼくは、くるしくなりました
おかーさんもおとーさんもいませんでした
こわかったです
それじやあ、さよおなら

おやすみなさ

あなたの手から逃げていた
たくさんたくさん足を動かした
けれどあなたの手は容赦なく小さな私の体を傷つけた
羽はあなたに千切られた
足もあなたに一本ずつ抜かれていった

痛いよう
痛いよう

あなたは私の体を、意図も簡単に潰した

もう何も見えなかった


（蝶々）

“愛してる”

この言葉は嘘だったんですね
貴方はただ、新しい“玩具”で遊びたかっただけなんですね

「はい。そうでした」

そうですか
嗚呼。別に気にしてなんていませんよ
目から流れる水はただの汗ですし

（自惚れんな）

信じていました
愛していました

なのに、どうして私を殺すのですか

（どうして泣いているのですか）

ここは暗くて、暗黙の世界。
希望なんて、光なんて見当たらない
手をさしのべてすら貰えない

当たり前だ

（少女漫画じゃないんだから）

目を閉じたまま歩いているような、そんな感覚に陥るくらい、暗い世界で誰かが言ったの。

「大好きだよ」

誰かが泣いてるの。
誰かの名前を呼ぶの。

「ねぇ、××。目を覚ましてよ」

誰に言ってるの？
誰の名前を呼んだの？


（私は誰だっけ？）

君はいつも謝ってばっかり
っていうとまた謝る

「ごめんね。」
「別に気にしてないし、いいよ。」

こんな無愛想な返事しかできなくて
ごめんなさい。
でもね、たまにはね

（好きだよって言ってほしいよ）

なんで僕だけがいじめられるの？
僕だって皆と同じなのに。

目もある、鼻もある、口もある。
何処も皆と違わないじゃないか。

なのに、どうして


(醜い、ただそれだけの理由で)

もう殺さないでください
監禁なんてしないでください
もう一人で泣かないでください
心から笑ってください


(自分の本当の気持ちを押し殺さないで)

疲れたよ
もう歩くことすらできないよ
涙なんて遠の昔に消えてしまったよ

君に愛されない僕なんかいらない


(お願いだから、愛して)

ブラジャーを付けた猫