>>407
私の考えでは、政党や政治家にとっての宗教団体とは、選挙時の「集票マシーン」にすぎない。特定の宗教団体が強く求める政策が、国民全体の利益よりも優先して実現されたことは、私の知る限りほとんどないからだ。
その代表例が、政治と神道の関係だ。神道系の宗教団体をルーツとする右派組織「日本会議」は、自民党の強力な支持団体として取り沙汰されることがある。メディアでは、日本会議の政界に対する影響力の強さが報道されることも少なくない。
また、自民党議員の多くが、日本会議と関連がある「日本会議国会議員懇談会」と「神道政治連盟国会議員懇談会」のメンバーである(本連載第179回)。
だが、第2次安倍政権時、日本会議が主張する保守的な政策を自民党が実行することはほとんどなかった(第144回)。むしろ、日本会議が忌み嫌っているはずの社会民主主義的な政策を次々と実現してきた。
例えば、外国人労働者の受け入れを拡大する「改正入管法」だ。この改正案を審議していた際、日本会議は完全に沈黙していた(第200回)。
確かに過去には、自民党の大物議員が「日本は神の国」「八紘一宇」などと発言して波紋を呼んだことがあった。だが筆者の目には、これらの発言は日本会議に対するリップサービスのように映った。