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あるとき、契約しているプロバイダから自宅に書面が届いた。掲示板に書き込んだ人の情報の開示を求められているので、応じてもよいかと尋ねる内容だ。
自分の投稿が記載された紙を持つ手はさすがに震えた。すぐに承諾し、その足で弁護士に相談した。
「損害賠償請求の裁判になって長期化する可能性もあります。お金も持っていたので、とにかく穏便に済ませたくて」
弁護士からは想定される事態の説明を受けた。そして、展開はその通りになった。被害者側から数百万円の慰謝料請求が届き、弁護士間での交渉により、最終的に示談が成立した。関山さんの負担は、弁護士費用を含めて約100万円にのぼったという。
●「40~50代の男性」が正義感から中傷している
弁護士ドットコムニュースによるアンケート(今年1月・回答数1355人)では、「誹謗中傷をしたことがある」(176人)と答えた中で、性年代別にみると、「50代の男性」「40代の男性」が約半数を占めていた。
また、動機として「正当な批判・論評だと思った」なども半数を超えた。
中年男性の関山さんはまさに「加害者のボリュームゾーン」に該当する。
今回の取材は、編集部が「加害者」の経験を呼びかけたことに、関山さんが答えたものだ。募集にあたって当初、「加害者」の自覚がないため、誰も応じてくれないのではないかという点が懸念された。
「悪口を投稿しているときに、悪いことをしていると自覚できているわけがありません。それに、僕の投稿は屈折した愛情表現で、困らせたいという欲求からのものでした」
慰謝料請求によって初めて「悪いこと」を自覚できたという。