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>>5 …その前に、なぜドイツが不可侵条約を破ってソ連に侵攻したのかですが、戦争が外交紛争解決の為の手段とするならば、その理由は見えてこないですね。 当時、独ソ間には戦争によって解決しなければならない外交紛争は無かったですから。しかし一応の答えは出されてはいます。 まずドイツが〝WX2〟に訴えた理由を考えると、ザックリ言えばWW1の審決に対する不満となるでしょう。 具体的にドイツがヴェルサイユ条約の国境条項で不満だったのは西武国境ではなく、ダンツィヒとポーランド回廊など…東部国境だったわけです。 しかしこれについてはソ連と一緒にポーランドに侵攻することで武力解決しています。 東部国境はポーランドと集団安保体制にあった英仏が対独参戦したために戦争になったものです。 やがてここでもドイツはフランスを下し、イギリス本土空爆を実施しますが、それが片付かない中でバルバロッサ作戦を発動するに至ります。 従来ドイツが避けてきた二正面作戦を自ら採用したわけです（WW1時のシェリーフェンプランも本来は西部戦線を片付けてから東部戦線にスウィングする計画だった）。 この作戦計画発動の意図は、まず第一にヒトラーの「我が闘争」によれば、ドイツ民族の為の広い生存圏をを東方に求めたことが第一に考慮されるべきでしょう。 そして第二にヒトラーは、イギリスが抗戦を続けるのはドイツとの戦争にソ連を巻き込むことを考えていると信じ、ならソ連に短期間で勝利すれば、イギリスとの和平が可能になると考えていたと言われます。 つまり二番目の理由を考慮すれば、独ソ戦とはクラウゼヴィッツのいう〝独ソ両国間の外交紛争を解決する手段〟としての戦争とは異なる理由で始められた戦争だと言えるでしょうね。