昨年11月に福島県沖で発生したマグニチュード(M)7.4の地震の震源海域を調べた海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究チームは、深さ140メートル近い海底で、比較的新しい段差や割れ目を見つけたと発表した。
地震によって形成された可能性が高く、今後、断層の位置を突き止め、津波の予測に結びつくデータだとして期待が寄せられている。
東日本大震災から6年目を迎えるが、宮城県や福島県沖では今もなお余震が相次いでいる。
2016年11月22日午前5時59分に福島県沖で起きたM7.4の地震では、同県白河市などで最大震度5弱の揺れを観測し、太平洋沿岸の各地に津波が発生した。
JAMSTECの笠谷貴史主任技術研究員らが率いる生態系調査チームは先月11日〜27日にかけて、三陸沖で深海探査丘ハイパードルフィン」を使った海底環境や地形調査を実施した結果、福島県の沿岸から約30キロ離れた水深138メートルの海底で、幅1〜2メートル程度の割れ目を発見。
割れ目の一部には大量のヨコエビの群れが集まっていた。
さらに、周辺の深さ142メートルの海底では、最近できたばかりだと考えられる、高さ2メートル程度の段差を確認し、割れ目の底に白く変色した部分を発見。
この白い部分は、海底下から湧き出したメタンや硫化物によって、バクテリアがマット状になったと考えられるという。
さらに音波を使って海底下からの反射を解析することで地層構造をとらえる調査では、水深140メートル付近の海底の堆積物が、長さ1キロ余りにわたって周囲より低くなっており、段差の壁面が浸食を受けていないことから、地震によって最近できた可能性が高いとしている。
昨年11月の福島県沖地震では、震源域の水深が浅く、海底地形調査はこれまであまり実施されてこなかったが、今回の観測データによって、断層規模や位置を正確に把握し、津波の予測に結びつくものとして期待が寄せられている。
【日時】2017年03月07日(火) 11:28
【提供】ハザードラボ