あす朝、日本版GPSと呼ばれる準天頂衛星「みちびき2号久が鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられる。
日本ではこれまで米国のGPS衛星を利用していたが、来年度以降、4機体制の運用が始まり、位置情報の把握が安定して行われるようになるとして、災害時の安否確認サービスの充実が期待される。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業は30日、「みちびき2号久を搭載したH-?Aロケットの打ち上げを、あす朝9時17分に行うと発表した。
カーナビやスマートフォンなどで利用されている「ナビ機能」は、人工衛星からの電波(測位信号)によって現在位置を把握する技術を使っているが、日本ではこれまで米国のGPS衛星を利用しているため、時間帯や場所によってはGPS機能が使えない場合も少なくない。
政府は2010年9月にみちびき初号機を打ち上げたが、翌年に東日本大震災が発生。
この時、災害時の連絡手段や安否確認、警戒情報の送信をめぐって、安定した情報配信サービスの必要性が課題になった。
そこで今年度中に3機を打ち上げて4機体制にすることで、2018年春からは、既存のGPS衛星と併せて、8機体制となる。
これでほぼ日本全土がカバーできるようになり、いつでもほぼ6センチ程度の誤差で現在位置の把握ができるようになるという。
しかし、ビルや樹木などで電波が遮られる都市部や山間部では、10メートルほどの誤差が見込まれるので、政府は2023年度をめどに「みちびき」を7機体制に拡充する計画を予定している。
2011年3月の東日本大震災では、地上のインフラが壊滅状態に陥ったことで、被災地からの情報送信の手段が衛星だけになってしまった。
みちびきの通信機能技術の開発に携わった情報通信研究機構(NICT)の門脇直人さんは、「みちびきの運用によって、非常時の通信機能が確保できるとともに、ふだんから使うことで色々な価値を生み出して欲しい」と期待を寄せている。
【日時】2017年05月31日(水) 11:35
【提供】ハザードラボ