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西京銀行（山口県周南市）は、後継者がいない農地などを集約した大規模農場で農薬や化学肥料を使わない有機栽培に取り組む株式会社「中森農産」（埼玉県加須市）と資本業務提携を結んだ。同社に5000万円程度を出資。同社が持つ経営ノウハウや栽培技術を生かし、県内農業の収益性向上や担い手確保を目指す。

同社は、東京から埼玉県に移住して農業を学んだ中森剛志社長（35）が2017年2月に設立。高齢化などで担い手がいない土地を借りて規模を拡大し、現在は埼玉、栃木、茨城3県の計300ヘクタールで米や麦、大豆などを栽培している。農地や生産過程の一部は有機栽培を示す日本農林規格（JAS）認証を受けており、年内にもフランスとカナダ向けに付加価値の高い有機米の輸出を始める見込み。収益性の高い作物で所得向上を狙う。

山口県内の農業従事者は20年に1万6613人となり、10年前と比べて4割ほど少なくなった。これに伴って耕地面積も減少の一途をたどっている。背景には農家の高齢化と後継者不足があり、重労働の割に所得水準が低いことが課題となっている。

両者は今後、農業の再生・発展に向け、〈1〉経営や栽培などの情報を蓄積したビッグデータや人工知能（AI）の活用〈2〉自動運転の農機による「スマート農業」の導入〈3〉収益性の高い有機栽培による所得向上――などを生産者に提案する。相談や指導といったコンサルティング事業も展開し、後継者の確保が難しい農地の貸借や農業法人の合併・買収（M＆A）を推進する。

同行本店で9月24日に開かれた資本業務提携の締結式で、契約書を取り交わした中森社長は「生産性の低い収益構造を根本的に変えないと解決につながらない。課題が顕著な山口でモデルケースをつくれば日本農業の希望になる」と強調。同席した松岡健頭取は「農業は生活に直結する分野。中森農産のノウハウや知恵を活用し、県内農業を持続可能な成長産業にしたい」と意気込みを語った。

【日時】2024年10月04日 12:48
【ソース】読売新聞