私は、艦橋天蓋からねじり鉢巻きの頭を突き出して、上空の乱舞する敵機をにらみつけていた。乗員の士気が落ちないよう、私は悠然たる素ぶりで煙草に火をつけ、戦闘中にスパスパやりだした。部下たちはこれを見て、おっというような顔をしている。だが、こっちは一世一代の大芝居だ。間もなく、僚艦が攻撃を受け、相次ぎ轟沈した。
本艦はスピードを変えて猛進していた。まさに食うか食われるかの戦いだった。だが不思議と気分は落ち着いていた。生きて帰らぬつもりの出撃だったので、はじめから生と死の境地を超越していたのかもしれない。
本艦はスピードを変えて猛進していた。まさに食うか食われるかの戦いだった。だが不思議と気分は落ち着いていた。生きて帰らぬつもりの出撃だったので、はじめから生と死の境地を超越していたのかもしれない。