運送事業者など法人向けの軽油販売を巡り、価格カルテルを繰り返した独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いがあるとして、公正取引委員会は27日、石油元売り大手や総合商社の系列会社でガソリンスタンドを運営する6社に立ち入り検査した。関係者への取材で判明した。
関係者によると、立ち入り先は、東日本宇佐美(東京都文京区)▽ENEOSウイング(名古屋市)▽三菱商事系の太陽鉱油(東京都中央区)▽伊藤忠商事系のエネクスフリート(大阪市)▽キタセキ(宮城県岩沼市)▽吉田石油店(香川県三豊市)――の6社。
6社は遅くとも2019年以降、神奈川県内の運送事業者向けの軽油販売価格について、各社の営業責任者らが月に1回程度、会合や電話連絡などで情報を持ち寄り、翌月の1リットル当たりの価格を引き上げたり、維持したりするなどの調整をしていた疑いがある。
6社はそれぞれ「フリートSS(サービスステーション)」と呼ばれ、法人契約者向けにネットワーク化されたガソリンスタンドを展開。顧客のトラックなどに大量の軽油を供給している。神奈川県内の運送事業者は数千社とされ、法人向け軽油販売の市場規模は年間約1000億円に上るという。
政府はガソリンや軽油の価格高騰を抑えるため、石油元売りに補助金を支給するなどの対策を講じてきた。公取委は、価格カルテルが政府の物価高対策の効果を阻害し、物流コストの上昇にもつながる恐れがあるとみている模様だ。
立ち入り検査を受けて東日本宇佐美は「調査にはしっかりと協力する」、ENEOSウイングは「詳細はまだ分かっていないが、真摯(しんし)に対応する」とそれぞれコメント…
【日時】2025年05月27日(火) 11:00
【ソース】毎日新聞