霧島連山の新燃岳では9日午前10時10分ごろ、火口から溶岩流が発生しているのを産業技術総合研究所(AIST)が確認した。
地球観測衛星だいち2号のデータを解析した国土地理院によると、新燃岳の山頂火口では、きょう(9日)午前0時11分の時点で、盛り上がった溶岩ドームの直径が約650メートルに拡大していることが判明。
このうち、火口内で最も縁の高さが低い北西側では、溶岩があふれ出す寸前だったという。
現地調査を続ける産総研の地質調査総合センターは、きょう午前10時10分ごろ、火口の北西側に流出する溶岩流を確認したと、気象庁に通報した。
詳細は現在調査中だが、火山監視カメラの映像では斜面をゆっくり流れ落ちる溶岩から、幾筋もの白煙が立ち上るようすがわかる。
火口から噴出したマグマが斜面を流れ落ちる溶岩流は、その成分や温度によって危険性も異なり、溶岩の粘性が高ければ流れにくいため、スピードも遅く、逆に粘性が低いと流下速度が早くなって危険性が高まる。
1983年の三宅島の噴火では、噴火と同時に粘性の低い溶岩が噴水のように噴き上がり、溶岩流が発生。
幸い死傷者は出なかったが、約400戸近い住宅が炎上し、鉄筋コンクリート製の学校の校舎が溶岩流でほぼ埋没した。
日本で見られる溶岩流のほとんどは安山岩質で粘性が高く、時速が2〜3キロを超えることはまれだが、噴出時の温度が800〜1200℃に達するため、流れる経路にある建物や道路、農耕地、森林などを焼失する場合がある。
さらに新燃岳の場合、これまでの噴火で大量の火山灰が飛散しているため、雨が降ると土石流が発生しやすくなる危険がある。
気象庁は、今後さらに火山活動が高まるおそれがあるとして、噴火警戒レベル「3」を継続し、火口から約3キロの範囲では大きな噴石に、約2キロ範囲では火砕流に警戒するよう呼びかけている。
【日時】2018年03月09日(金) 11:54
【提供】ハザードラボ