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7月24日（日曜日）、フィリピンの数ある私立大学の中でレベルの高さ1、2を争うアテネオ・デ・マニラ大学で、同大学法学部を卒業する娘の卒業式に出席するために上京していた、バシラン州ラミタン市（人口10万人強）の前市長と同行者及び警備員の3人が銃撃を受けて死亡し、娘も重傷を負った。

【写真は事件のあった同大ケソンキャンパス】事件はマニラ首都圏ケソン市にある同大第3ゲート近くの駐車場で午後2時55分頃に発生し、銃撃した犯人は逃走後に捕らえられ当初は1人と発表されたが2人であることが判明した。

同日の卒業式には祝辞を述べるために最高裁判所長官が来賓として出席予定であったが、卒業式は中止され同校内は立ち入り禁止措置が取られた。

死亡した前市長は2013年～2022年まで3期連続9年間市長職に就き、今年行われた市長選では夫が出馬し当選したが、この夫は2004年～2013年まで市長職に就いていて夫婦で公職をたらい回しにしていた。

フィリピンにおいては一族で公職たらい回しなど珍しくもなく話題にもならず、今回の大統領選で当選したマルコスも地盤の北イロコス州では知事、下院議員など公職を一族で長年牛耳っている。

そういった政治風土の中で、政治的に敵対する一族との抗争も頻繁で、殺し屋を雇って敵対する側の人間を暗殺するなど珍しくなく、それが極端に表れたのが2009年に起きた『ミンダナオ島虐殺事件』であった。

この事件は知事選を巡って対立する政治一族や取材するジャーナリストを計画的に殺害したもので、57人が殺害された。

この事件の首謀者である当時の現職知事一族は捕らえられ裁判で有罪にもなったが、まだ裁判は続き実行犯の多くは逃亡中という状態となっている。

アテネオ大銃撃事件の容疑者は死亡した前市長側と名誉棄損などの訴訟案件を抱えていて、それが犯行動機ではないかと見られているが、まだ判然としていない。

日本でも元首相が手製の銃で銃撃を受け死亡する稀有な事件が起きたが、フィリピンは銃砲が野放し、軍や警察上がりの殺し屋を安い金で雇える国で、日本の元首相銃撃事件同様『怨恨』による事件が多い。