米カリフォルニア州やミシガン州では最近、深刻な鉛中毒を発症する子供の数が急激に増えており、老朽化した家屋に使われている水道管やパイプによる水質汚染を問題視する声が高まっている。
米環境保護庁(US EPA)は今月、カリフォルニア州フレズノと、ミシガン州フリントで、飲料水が原因とみられる鉛中毒を発症した子供が増えていると発表した。
自治体が6歳未満の未就学児童を対象に行った血液検査によると、13%以上の子供から高い濃度の鉛成分が検出された。
鉛中毒とは、文字どおり鉛を摂取することで起きる中毒症状のこと。
ふだん口にする食べ物にもごくわずかに含まれているが、自然由来の鉛で急性の中毒症状を起こすことはなく、鉛で汚染された食品や鉛を含んだ塗料が原因となる。
体内に鉛が取り込まれると、酸素の働きを阻害するため、血液中のヘモグロビンが作られず、貧血を起こしたり、嘔吐や腹痛などのほか、深刻な場合、脳内に水がたまったり、脳の組織が変化するなど、さまざまな症状を引き起こす。
子供の場合は知能指数の低下や神経障害の原因となる場合もあり、妊娠中に鉛中毒になると胎児が低体重で生まれるケースも報告されている。
かつて日本でも水道管に鉛管が使われていたが、鉛が溶け出した水道水を長期間飲むことで鉛中毒になると問題視されたことで、1995年以降、鉛管の使用は全面禁止となった。
しかし、米国では老朽化した家屋や低所得者層が居住する住宅地では鉛の水道管が使われているエリアも残っており、専門家は「フレズノやフリントの例は氷山の一角で、ロサンゼルスやオークランドなどの大都市圏にも鉛中毒は広がりを見せている」と指摘し、全国的な血液検査の必要性を訴えている。
環境保護庁は州政府と連携して、フリズのやフリントに対して水道管の腐食防止処理やインフラ整備に1億ドル(111億円)以上の助成金を提供する方針を決めた。
【日時】2017年03月23日(木) 11:20
【提供】ハザードラボ