ハリケーン・マリアは現地時間20日現在、中米カリブ海のプエルトリコを通過し、勢力はカテゴリー2に引き下げられた。
今月18日、カテゴリー1から1日たらずで一気に5に成長したハリケーンは、その後も発達と衰退を繰り返しており、今後の展開の予測が難しい。
米国の気象学者が「劇的な変化を見せるハリケーンだ」と評するマリアは今月18日、西インド諸島周辺で発生。
わずか18時間の短い期間で勢力がカテゴリー1から5に発達。
19日には勢力がカテゴリー4に引き下げられたが、プエルトリコに近づくにつれて、再び最強の5に成長し、現在は2になった。
米国立ハリケーンセンター(NHC)は、「プエルトリコ通過後は、進路を北西に変えてゆっくりと北上を続ける」と予測している。
マリアの勢力が、これほど目まぐるしく変わる要因について、米海洋大気庁(NOAA)大西洋海洋気象研究所の気象学者、ニール・ドースト氏は、「強風域が100キロ未満の小型のハリケーンでは、過去にも急激に発達したのち、弱体化した例がある」と指摘。
「大型の熱帯低気圧の場合は、大気を加速・減速させるためには大量のエネルギーを必要としますが、小型ならば少ないエネルギーで済みます」とドーストさん。
さらにマリアの発達の背景には、渦巻きの中心の目が小さかったことも関係している可能性が高いという。
目が小さい方が、ハリケーンの回転速度が早まるからだ。
2008年のハリケーンと熱帯気象学会で発表された調査報告によると、1998年から2006年にかけて観測されたハリケーンのうち、カテゴリー3以上のハリケーンに発達した熱帯低気圧の6割近くが、「ピンホール」と呼ばれる針の先で突いたようなごく小さな目を持っていたことから、目のサイズはハリケーンの動向を予測するひとつの指標になるという。
米航空宇宙局(NASA)の地球観測衛星Suomi NPPが日本時間20日午後7時21分にとらえた赤外線熱観測画像を見ると、米領ヴゼジン諸島の上空で発達を続けるハリケーン・マリアは、目も規模もコンパクトだが、その真下では猛烈な暴風雨が吹き荒れている。
NHCによると、日本時間21日現在のマリアの最大風速は49メートル、中心気圧は958ヘクトパスカルと一時期に比べると弱まったが、まだまだ油断は禁物。
今回はフロリダ州への上陸は免れそうだが、今後の進路によっては米東部沿岸が強風域に巻き込まれるおそれもあると言う。
【日時】2017年09月21日(木) 10:59
【提供】ハザードラボ