>>7 さん。Sankei Web にはコレ載ってないんですね。
んじゃ、テキスト版ダウンロードして載せておきますか。
◆【日本よ】石原慎太郎 アメリカは勝てまい
先月ワシントンとニューヨークに滞在中にCSIS(戦略国際問題研究所)と
FPA(外交政策協会)に請われて行ったスピーチでまたしても物議をかもした
ようだ。問題の要点は、アメリカはもし中国と戦争をするようなことになったら
絶対に勝てまいということだ。この発言は誇り高き?アメリカ人にとっては由々
しきことだろうが、実ははるかそれ以上に日米安保を盲信している日本人にとって
重大な、というより国家存在の安危に関わる問題なのだ。さる十月の本欄にも記
したが、最近中国が行った大陸間弾道弾実験の成功は、中国とアメリカの将来の
軍事対立において強大なオプションを中国に与えたことになる。
アメリカとの対立の中で中国が保有するICBMをいきなり発射する愚を行う
訳はなかろうが、東アジアと西太平洋における軍事的覇権を確立しようとしている
中国にとって、その成就のために最も目障りな日米安保体制の破壊のためにある
切っ掛けを捉えて彼等が行い得る最も有効な直接行動とは、アメリカのアジアに
おける軍事的ヘゲモニーにとって不可欠な沖縄の戦略基地を核兵器によって一気に
ほふることに違いない。
それを受けてアメリカが、日本の防衛とアメリカの覇権のために核使用をも含めて
大掛かりな報復の挙に出るかどうかは極めて疑わしい。その瞬間、中国が開発した
ICBMの存在が巨きな戦略的抑止力として効いてくる。
前にも記した通り毛沢東が対アメリカ戦争を想定してポンピドーに明言した、千万単位
の人命の損失を決して恐れはしないという、市民社会を経験したことのない中国伝統の、
人命に関する我々とは百八十度違う野蛮な価値観が発露してくる限り、アメリカの市民社会
の世論は中国との全面戦争を許容する訳がない。現にイラクにおける二千人に達した
アメリカ側の犠牲者によってアメリカでは厭戦機運が増幅されつつある。
しかし戦争なるものの実質はしょせん生命の消耗以外の何ものでもありはしない。
その主たる対象は地上軍となる。そしてアメリカの三軍においてもっとも劣悪な存在が
陸軍であるという事実がそれを逆証してもいる。アメリカの最も優秀な地上戦力は陸軍
とは別の第四軍たる海兵隊だが、その数は極めて限られている。
最近NHKによる、正規の陸軍に代わってイラクに派遣されたアメリカのある州兵の
ルポを目にしたが、その老齢と未熟な実態には驚かされた。丁度日本の市民ボランティア
による消防団が大火事に派遣されたような体たらくで、結果はむべなるかなと思わされた。