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豚コレラ広がりイノシシ減少、獣害に悩む農家は歓迎だけれど…頭を抱える人たちも
4/19(火) 22:19配信
読売新聞オンライン
栃木県内の野生イノシシに家畜伝染病「CSF(豚熱=豚(とん)コレラ)」の感染が広がっている。その生息数は明らかに減り、獣害に悩まされてきた農家からは歓迎の声が上がる。一方、イノシシ肉をブランド化してきた那珂川町は出荷停止に追い込まれ、狩猟の後継者不足につながる可能性も指摘されている。(井上暢)
消えた足跡
「昨年まではよくイノシシがわなにかかっていたのに」と空の箱わなを前に不思議がる橋本代表(左)ら(11日、大田原市北野上で)
「今年に入ってイノシシがこつ然と消えた。足跡すら見ない」。4月上旬、大田原市鳥獣被害対策実施隊の橋本公夫代表(71)は、市内の中山間地にある田畑を巡回し、設置中のわなを確認しながらつぶやいた。
同隊は、農作物を荒らすイノシシなどの撃退や捕獲を目的に、2013年に発足。現在は狩猟者と市職員の隊員4人が、田畑に電気柵やわなを設置している。ところが、20年度に140頭だった捕獲数は、21年度は42頭に激減。なかでも今年2月はゼロ、3月は1頭だった。
県内では20年11月に初めて野生イノシシの豚熱感染が確認されて以降、今月8日までに15市町、97頭に広がっている。橋本さんは「山を歩くと死骸が見つかる。豚熱でバタバタ死んでいるのだろう」と語る。
山あいにある同市須賀川地区でも長年、米やほうれん草などが食い荒らされる被害に悩まされてきたが、昨年秋から被害が目に見えて減った。自治会長で約50アールの畑を持つ平久江徳昭さん(69)は「イノシシに生活道路を崩される被害もなくなった。不気味だが喜ばしい」と歓迎する。