🪑 津南町雑談

2024年2月上旬、私は南フランスのスキー場にいた。

ベルギー留学中の私だが、ベルギー人の友人らと一緒に、ヨーロッパの冬スポーツの鉄板・スキーをするためだ。

元々、小さい頃から日本でスキーに親しんでいたため、スキーの腕には少し自信がある。けれども、現地のスキー場は日本のスキー場とは、｢滑るという体験｣自体が全く違うものだった。

さらに特筆すべきは、その費用の高さだ。円安ということもあるが、そもそもヨーロッパ人がスキーにかけるお金や思い入れの強さは、日本のそれと桁違いだった。

日本のスキー人口が減るなかで、外国人訪日客のスキー人口が増えている。実際に、外国人富裕層向けのホテルが次々と建設されている国内スキー場もある。

ただ、現地での現実を目の当たりにするなかで、もしも桁違いにお金を使う彼らが日本のスキー場に押し寄せたならば、日本人がスキーを楽しめなくなる日が来るのではないか……そんな不安すら、頭をよぎった。

今回はセレブも集うフランスのスキー場の実態を紹介しつつ、現地で感じた｢日本の危機｣について考えたい。

標高2000メートルからの絶景

ベルギーから車で13時間、私が訪れたのは、スイスとイタリアの国境に近い、南フランスのスキー場｢アルク2000｣だ。昨年の夏にバカンスに訪れた街から、もう少し山を登ったところだ。初日は、標高2000メートルということもあり、息をするのが少し苦しかった。

柵を乗り越えても｢自己責任｣

さらに驚いたことに、誰もがうまく、かなりのスピードを出している。ヘルメットをかぶっていないのは私だけだった。｢最高速度は時速139kmだったよ！｣と笑顔でリフトに乗り合わせた人と自慢しあうベルギー人の友人を、私はポカンと見つめていた。

リフトを降りると、乗り合わせていた人たちが｢バイバイ｣といいながら、コース外（柵の外）にさっそうと消えていった。日本でいうなら｢危険｣と立て札がありそうなところだ。

標高が高く樹木もないので、ただの雪が降り積もっただけの岩肌である。崖のように見える場所を、難なくすいすいと滑っていく。非常に危険な行為にしか見えないのだが、友人は｢自己責任だからね｣と笑っていた。感覚が日本と違いすぎてとにかく驚いた。