🎿スキー・スノーボード

　【米ディアバレー（ユタ州パークシティー）１２日】フリースタイルスキー・モーグル女子で９８年長野五輪金メダルの里谷多英（３３）＝フジテレビ＝が、スピードスケート女子短距離の岡崎朋美（３８）＝富士急＝と並ぶ５大会連続冬季五輪出場が決まった。日本女子で最多となった里谷だが、持病の腰痛が再発しＷ杯を欠場中で、引退覚悟で五輪に臨む考えを示した。一方の上村愛子（３０）＝北野建設＝も集大成の五輪を示唆した。

　五輪女王に派手な言葉はなかった。９８年長野で金、０２年ソルトレークシティーでは銅を獲得している里谷だが、満身創いの中での５度目の五輪切符に「ここまでこれるとは描いてなかった。常に辞める覚悟と隣合わせだったから。やれるだけのことをやって、運とか実力が味方してくれないのならそこまでと自分の中では思う」。言葉の端々に悲壮決意をにじませた。

　２年前の０８年２月のＷ杯福島・猪苗代大会を最後に一度は引退を決意。「これで終わりと思って出た試合」の結果は１４位と惨敗。「練習もせずに出て、すごく後悔した。それで辞めるのは違うと。やっぱり、やりたいって気持ちに気づいた」。気持ちを切り替え挑んだ３月の札幌ばんけいでの全日本選手権で復活Ｖ。体をイチから作り直したが、それでも悲鳴を上げた。

　腰痛は引退危機に何度も追い込まれた持病。再発したのは年明け３日。好調のあまり体を酷使した結果という。４日にＷ杯遠征で離日したが、９、１０日のカナダ・カルガリー２連戦を欠場。この３日間は滑っていない状態で、１４日の出場も微妙だ。この日は公式練習初日を休み、ソルトレークシティー市内の病院で治療。夜９時過ぎに宿舎に戻った。里谷は「良くはなってきてるけど、走ると痛い状態」と話した。

　帰国する手段もある中で残留を決意。五輪までＷ杯は３試合あり、２２日の米レークプラシッドが最後となるが「それまでには絶対に出る。ぶっつけ本番は考えてない。大会に出ずにオリンピックに出るのはあまりに不安ですから」と強行出場も辞さない構えを見せた。

　「いまは先の人生なんか考えない」と里谷。銅を獲得した地でのＷ杯にも「なんのこだわりもない」。無の境地でいく。