放送法上の「政治的公平」をタテに、安倍晋三政権時代、総務相として同政権に批判的な番組に圧力をかけようとした疑いがもたれている高市早苗・経済安全保障担当相。今月上旬に問題発覚以降、「文書は捏造ねつぞう」と叫んでいるが、その答弁の迷走ぶりが目に余る。一部からは擁護論も飛び出したが、それも筋違いで旗色は悪くなるばかり。白熱の好試合が続くWBCの裏で、見苦しさばかりが目立つ高市氏の「死闘」を検証した。(西田直晃、宮畑譲)
■「行政文書」78枚のうち4枚は「事実でない」
「明らかにありもしないことをあったかのように文書が作られた。認識は変わっていない」
高市氏は17日の大臣記者会見でも強調した。文書とは、総務省職員が秘密裏に作成したとされる一連の記録。全78枚のうち、自身に関する記述がある4枚を「事実ではない」と言い続けている。
文書からは、安倍晋三元首相の腹心の礒崎陽輔首相補佐官(当時)が総務省に促し、一部の番組をけん制しようとした道筋が浮かび上がる。総務相だった高市氏は2015年5月の参院総務委員会で、政治的公平性の判断基準を「放送事業者の番組全体」から「一つの番組」に変える新解釈を答弁した。官邸サイドの意をくんだ形だ。
文書によると、高市氏は答弁の3カ月前の15年2月13日、総務省情報流通行政局長と打ち合わせをしている。同局長は「大臣の了解が得られれば、総理に説明し、国会でいつの時期に質問するかの指示を仰ぎたいと、礒崎補佐官から言われている」と高市氏に伝えた。高市氏は「そもそもテレビ朝日に公平な番組なんてある?」と語り、礒崎氏の動きにつ..
【日時】2023年03月18日 16:00
【ソース】東京新聞