大分県中津市耶馬渓(やばけい)町で発生した土砂崩れについて、京都大学の調査チームは、「かつて起きた地すべりによって、斜面途中に堆積していた土砂が、風化が進んでなだれ落ちた」と結論づけた。
今後再び地すべりが起こる危険性があるとして、警戒を呼びかけている。
事故は今月11日午前3時40分ごろ、耶馬渓町金吉の住宅地の裏山が崩れて、民家4棟が全壊し、45歳から90歳までの住民5人が死亡、5人が負傷したもので、現場では現在も捜索が続けられている。
事故直前まで降雨や地震がなかったことから、地すべりが発生した理由について、さまざまな憶測がなされるなか、京大防災研究所の千木良雅弘教授と山崎新太郎准教授のチームは、今月15日〜16日にかけて周辺調査を実施した。
その結果、地滑りした斜面は、大分県西部の「猪牟田(ししむた)カルデラ」が約100万年前の噴火したときの耶馬渓火砕流で形成された「溶結凝灰(ようけつぎょうかい)岩」という火山岩が風化したものだと判明した。
一方、下層はもっと以前の噴火でできた「凝灰角礫(ぎょうかいかくれき)岩」で構成されていて、この地層は崩れていないが、地すべり面の境界からは地下からの湧き水が流出していた。
このことから調査チームは、現場では以前に起きた地すべりによって、上部の地層が崩壊し、斜面途中のコブにひっかかってとどまっていたが、風化が進み、湧き水の影響で突然崩壊したと結論づけた。
調査チームは「九州中部に広がる火砕流台地は、軟弱な地層が多く、今回の現場以外にも古い地すべりの痕跡が見られる」として、広範囲の早急な地質調査の必要性を訴えている。
【日時】2018年04月23日(月) 11:52
【提供】ハザードラボ