環太平洋火山帯での活発な火山活動に注目が集まるなか、2015年にトンガで海底火山が爆発して、半年ほどで急速に成長した火山島の全容を、米航空宇宙局(NASA)が12日初公開した。
この島が誕生したのは2014年12月19日、ニュージーランドの北東に位置するトンガ本島から70キロほど北に離れたハンガ-トンガ島近くの海底で火山が爆発。
約5週間後の2015年1月28日には直径2キロ、標高120メートルほどの円形の島が出現した。
現在、科学者の間で「ハンガ・トンガ-ハンガ・ハァパイ島」と呼ばれている島は、西之島やアラスカのボゴスロフ島と同じ海底火山の噴火でできた火山島で、1963年にアイルランドで誕生したスルツェイ島にちなんで、「スルツェイ式噴火」と呼ばれている。
スルツェイ式噴火は、マグマたまりのマグマが海水に触れることで大量の水蒸気が発生し、水蒸気圧が高まって大爆発を起こす仕組み。
火山灰の上に溶岩が流れて島が形成されるため、波の浸食に弱く、せっかくできた新島が消滅するケースも少なくない。
そのためニュージーランドの研究機関やNASAが中心になって、衛星観測を続けてきたが、今月11日、米地球物理学連合(AGU)の秋季大会で、地球観測衛星ランドサット8号が上空からとらえた島の全景画像が初めて公開された。
衛星画像は島の誕生直後の2015年4月と、今年9月に撮影されたもので、最新のものでは、島南東の海岸線が波で削られて、火口湖が小さくなっているのがわかる。
NASAのゴダード宇宙センターの研究チームは、この島の未来について、「火山灰が固まってできた凝灰岩はかなりもろいため、6〜7年後には、東端の細長い島を残すだけになるか、浸食スピードがもう少し遅ければ、向こう25〜30年間は円錐形の凝灰岩部分が残るかもしれない」と分析結果を発表した。
そのうえで、「火山活動から大地が形成されるプロセスを観察することで、地球の進化の歴史や火星の火山の研究に結びつく」と期待を寄せている。
【日時】2017年12月12日(火) 11:10
【提供】ハザードラボ