3月28日、英インペリアル・カレッジが欧州11カ国の都市封鎖などの効果を評価する報告書を発表した。流行初期の段階で介入を始めたドイツや英国と、感染が拡大してから介入したイタリアやスペインでは、どんなスピードで流行が拡大し、どのくらいの人が感染したのかなどを初めて数値で評価したものだ。この報告書のいいところは、各国の感染者数はいっさい考慮せず、死者数だけを解析対象としている点だ。理由は「国ごとにPCRの検査対象もキャパシティも異なるから」。一方、「死者数」はPCRの対象やキャパシティに左右されることのない絶対値である。日本では当初から「発熱4日以上もしくは感染を疑う行動歴」という粗い網をかけ、見逃しを前提としたPCR検査態勢を取ってきた。PCRにリソースを割くよりも、感染が広がれば一定の割合で出てくる重症患者の救命に医療を集中させ、医療崩壊を防ぎながら流行を乗り切ろうというのが基本のコンセプトだった。