📖 創作･携帯小説

１０年前、突如現れた客人は、招いてもいないのにやってきた。
彼らは、人間のようで人間ではなかった。
でも、ロボットでもなければ、宇宙人でもない。

彼らは、自らのことを

「にんぎょう」

と呼んだ。

そして、碧の星『地球』を侵略しに来たと勘違いした
人間は・・・。



過ちを犯す。



永きにわたる戦争は、今でも続いていた。
人類の敗北など、誰もが分かっていた。
それでも世界の偉い人たちは、おもちゃのように
人々を操り、やみくもに殺した。
「にんぎょう」も、「人間」も。

お互いを殺し合い、地上には怯える人間たちと
もう動くことのない命が転がり、
空では鳥の代わりにビュンビュンと鉄の塊が飛び交い、
海では魚たちが降ってくる球体に震えながら暮らした。

空は・・・
もう、晴れることはなかった。

「○月△日

　今日も空は晴れない。
　曇っているばかりだ。しかし、この雲は雲ではないのだろう。
　太陽のことを、何日、いや、何年見ていないだろう。

　戦争がはじまったのが、僕が６歳の時のはずだ。
　それで、今１６歳だから———————————」


バタン。と、勢いよく本を閉じた。
今日は、日記を書く気にもなれなかった。

・・・６歳のころから、書いていた日記。
もう、かれこれ５冊は超えていた。
日記の内容はもちろん、すべて戦争のことだった。
僕には、誰もいない。両親も、つい１ヶ月前死んだ。
いわゆる、戦争孤児というやつだ。

それでも、僕は変わらない。
戦争が始まろうが、終わろうが、知ったこっちゃない。
両親が死んだ時も、何も思わなかった。
何を言ったって、何を訴えたって、
世界は変わってくれないし、うごいてもくれないし、
死んだ両親が帰ってくるわけでもない。
だから僕は、普通に、過ごしていた。

でも、ある日、普通じゃなくなったんだ——————。

本物の小説家さんが書いてるみたいです
すごい文章力ですね
羨ましいです(´・ω・｀)
尊敬します

千代さん

いえいえ！！そんなことないです！！
褒めていただきありがとうございます

いつものように、学校に行った。
昨日よりも、人が少なく感じた。

『昨日は空襲がひどかったからな・・・』

と、ゆりの花が置いてある机を見て思った。

僕の家と学校は山奥にあるため、被害は少ない。
そのため、疎開してきた子どもたちがこの学校に通ってくる。
みんな、安全な場所を求めていた。

登校を終え、クラスの全員が席についた。
人数が少ないので、他の学年も混ざっているが、
今日は昨日よりも、明らかに少なかった。

先生もどうやら、死んでしまったらしい。
いつもと違う先生が来た。
でも、いつもと変わらない学校だった。

そこまでは、変わらなかった。

帰り道、一人で歩いているとピョコっと、人影が現れた。
人間のようだが、人間ではない。
そう、そいつは「にんぎょう」だったのだ。

かわいらしい容姿。ピンクの髪に、大きな目。
子どもなのだろうか。

『にんぎょうたちは、みんな戦場にいるはず・・・。
なぜ？』

そう思った直後、にんぎょうは喋り始めた。

「・・・私が戦場にいないのは・・・。
　怖いからです。」
「僕の、思っていることが・・・分かるの？」
「・・・はい。分かってしまうんです・・・。」

恐る恐る喋るその子は、僕らの敵のようにはとても思えなかった。
幼すぎる姿のせいもあるのだろうが、それ以外にも、なぜか
安心できるなにかが生まれていた。

「私の名前は・・・アルク＝シュロンタ。
　ルーシュ、と呼んでください。
　あなたは・・・？」
「僕は・・・雨宮晴太。」
「せいたさん・・・ですね？」
「うん。・・・ルーシュは、帰るところはないの？」
「はい、みんな、死んでしまったから・・・」
「じゃぁ、僕の家においで。僕も一人だから。」

そうして、僕はにんぎょうのルーシュと過ごすことになった。
人間とにんぎょうが共に過ごしていいのかと思ったが、
ルーシュは僕を殺そうだとか、考えていないようだし、
第一にんぎょうはもともと地球を侵略しに来たわけじゃないし
気にしないことにした。

でも、その時から、決まっていたのかもしれない。


運命は—————————。

>>2と>>4のなりパスが違いますが、ただの間違いです。。。
すいません

お盆に夏風邪・・・
しばらく更新できず、すいませんでした；

戦争がだんだんひどくなってきたのか、
疎開してくる人が多くなった。学校も、
人数が多くなってきているらしい。

・・・僕は数日間学校に行っていない。
ルーシュを一人にするわけにはいかないし、
第一にんぎょうとともに暮らしていることがバレたら
どうなるか分からないからだ。

僕が学校に行かなくても、特に誰からも何も言われなかった。
きっと、死んだことにでもなっているのだろう。
案の定、忘れ物を取りに学校にこっそりと入ったら、
僕の机の上に白い花が生けてあった。
もしかしたら、生きているのに死んだことになってる人が
居るのかもしれない、と思いながら
今日も僕は晴れない空を仰ぐ。

何億人という計り知れない人々が住んでいたのに、
今では指で数えられるくらいになってるかもしれない、とか。
もともと青かった海は、赤くなって、
地球は赤くなってるかも、とか。
この木イチゴの赤は、血の色なんじゃないか、とか。
夕焼けの赤は、なんでこんなに儚いんだろう、とか。

そんなどうでもいいことが、頭の右から左へ抜けていく。
それを風が受け取って、遠い場所へと運んでいく。
そして、１周して戻ってきて、また僕の頭の中に入り込む。

繰り返される歴史の中で、今はどこなんだろう？

心の中で、不安と恐怖が渦巻いて、喜びと体温が消えていく。
その時、西の空が大きな爆音とともに光り、死んでいったのを
僕ははっきりと覚えている。

次の日——————

僕は、新聞を見て驚いた。
新聞の最初の見出しにはこう書いてあった。

「にんぎょう去る、人類の勝利」

・・・え？

絶対、何かあるはずだ。
あんなに人類を殺し、殺されたんだから、
何かあるはずだ。

「晴太・・・？」
「ルーシュ・・・」

隠していても無駄なのだろう。
彼女には、思っていることが分かってしまうから。

「ルーシュ、あのね————」
「晴太ー、お腹すいたー」

『あれ・・・？』

ルーシュはなにも言わなかった。
この時ルーシュは、分かっていて、僕のために
何も分からないふりをしたのか、それとも
本当に分からなかったのか。
今でも、全く分からない。

『にんぎょうがいなくなった・・・か・・・
　じゃぁ、ルーシュはどうなるんだ？』

誰かが迎えにくるのか。
人類か、にんぎょうか。
どちらにしろ、僕は殺されるんだろうな。

朝ご飯を食べた後、僕はまた新聞に目を通した。

「人類の最新兵器でにんぎょう焼却・・・？
　残っている世界のにんぎょうたちも今日中に
　処分予定・・・！？」

僕は、座布団の上で寝ているルーシュを見ながら、
迷った。

嘘をつこうか。
ルーシュが僕を監禁して、殺されそうになった、とか？
ダメだろう。そんなことをしたら、ルーシュが———。

「こちらです。ここにいます。」
「排除します。焼却準備、はじめ」

外から、ロボットが発したようなカタコトな声が聞こえてきた。
ルーシュもそれに気付いたようだった。
不安そうにこちらを見ている。

「・・・逃げるよ」

裏口から、僕たちは逃げたのだったのだった。

どれだけの時間が経ったのか。
どれだけの距離を走ったのか。
わからなかった。

ただ無心で、逃げていた。

「ハァ、ハァ・・・。ここまでくれば大丈夫かな・・・。」
「晴太・・・。怖い・・・。」

僕の服の袖をぎゅっとつかむルーシュは
微かに震えていた。

「見つけたぞっ！！」
「！！？？」

あれは政府の———————！

「何をしている・・・？人間がにんぎょうと共にいるなど、
　あってはならないことだろう！」

僕に言っているのか？
違う。違う。

「にんぎょうがどれだけの人を殺したと思っているのだ！」

それは僕たち人間もじゃないか。
たくさん戦争をして、たくさん敵を殺して。

「にんぎょうは私たちに害をなす存在なんだ！」

違う。違う。違う。
ルーシュは・・・ルーシュは・・・！！

「・・・ってんだ。」
「？」
「なんだってんだ。どいつもこいつも・・・。」
「晴太・・・？」

もう、感情を抑えられない。

あれ・・・なりすましパスワードが・・・。

「なんでだよ！なんでみんなっ、全部を全部敵だと
　決めつけるんだっ！？
　何が正義だ、何が人間だ！
　にんぎょうがたくさん人間を殺した？
　人間だってたくさんにんぎょうを殺したじゃないか！
　先に仕掛けたのは人間だろう！？
　何を今さら・・・！」

いつのまに泣いていたんだろう？
太陽の光が滲んだ。景色が歪んだ。

「う・・・うるさいっ！いいから、そいつを・・・
　そのにんぎょうを渡せっ！！」
「お前ら・・・！！」

飛びかかろうとした刹那———————

「晴太、もういいよ。」
「ルーシュ・・・？」
「いいよ。仕方ない。私はにんぎょう。晴太は人間。
　もう、その壁は壊せない。もう、全部が遅すぎた。」
「何言ってるの・・・？
　そんなことない・・・！！今からでもまだ——」
「晴太っっ！！」
「・・・。」
「ばいばい、晴太。出会えて、良かった。」

どうして。どうしてみんな、居なくなる？
お母さんも、お父さんも、お姉ちゃんも。
友達も、先生も、みんな・・・。

全ては僕たち人間のせいじゃないか。

「焼却準備、はじめ。」

聞いたことのある声。
あぁ、やっぱりルーシュを殺すんだ。
じゃぁ、なんで僕を殺さない？
そんなの、都合が良すぎるだろう。

「晴太、あのね・・・。」
「ルーシュ・・・。」
「私、言い忘れてたことがあった。」
「ルーシュ・・・！」
「私、晴太のこと・・・。」
「ルーシュ！もういいからっ！もう・・・！」

「大好きだよ。ありがとう。」

ものすごい爆音。凄まじい衝撃。
僕の記憶はそこで途切れた。

千代さんのコメントが入ってる!!!

黒タイツ最高！

⤴

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