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名誉毀損罪は、刑法第230条第一項で、
「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、
3年以下の懲役もしくは、禁錮または50万円以下の罰金に処する」と定められている。
「公然と」というのは、不特定または多数の人が認識できる状態のこと。
事実を摘示するための手段には特に制限がなく、『インターネットの掲示板で書き込む』
『張り紙で噂を広める』『街宣車を動かして噂を宣伝する』などの場合であっても成立する。
また、「事実を摘示し」の「事実」は、これはその事実が、真実か嘘かを問わない。
真実を書いても、それである人の社会的評価が下がるなら、名誉毀損罪は成立する。
背徳または破廉恥な行為のある人、徳義または法律に違反した行為をなした者であっても、
当然に「名誉毀損罪の被害者」となりうる(大判昭和8年9月6日刑集12巻1590頁)。
例え真実の犯罪行為の公表であれ、ただ発言内容が真実であるというだけでは免責されない。
また、公知の事実であるか非公知の事実であるかを問わない。
「公然と事実を摘示」すれば成立する罪だからである(大判大正5年12月13日刑録22輯1822頁)。
よく、「これは真実に対する批判だから、そんなことをする方が悪い」と思いがちだが、
たとえ真実だろうが名誉毀損罪は適用される。
そして、「人の名誉」の「人」には、法人も含まれる。
つまり、会社の名誉を毀損された場合でも、名誉棄損罪に問える可能性がある。
ただし、「アメリカ人」や「東京人」など、特定しきれない漠然とした集団については含まれない
(大判大正15年3月24日刑集5巻117頁)。