日本海にまた大量エチゼンクラゲ、一つの網に1000匹も…09年には漁業被害100億円
読売新聞 / 2021年9月28日 18時27分
深刻な漁業被害をもたらす大型クラゲ(エチゼンクラゲ)が日本海沿岸に大量に押し寄せている。8月以降、一つの漁網に約1000匹がかかるケースも確認され、甚大な被害が出た2009年以降で最大規模になる恐れがある。漁業関係者が警戒を強めている。
エチゼンクラゲは、春に中国沿岸で発生し、海流に乗って夏頃から日本近海に到達する。世界最大級のクラゲで、傘の大きさが2メートル、重さが200キロに達するものもあり、漁網を破損させたり、網の中で魚に付着して鮮度を落としたりする。09年に大量に出現し、全国の漁業被害額は推計約100億円に上った。
一般社団法人「漁業情報サービスセンター」(東京)によると、近年の日本近海では、漁網にかかるのは10匹程度だった。しかし、今年は8月下旬に島根県・隠岐諸島沖の定置網で約1000匹がかかったほか、長崎県から青森県までの広範囲で確認され、例年より大型の個体が目立つという。
福井県沖では8月中旬以降、若狭湾を中心に数十〜数百匹が確認され、今月7日には約800匹が定置網にかかる被害があった。
福井市の越廼こしの漁協でもサワラやアジの定置網漁に影響が出た。川端元昭組合長(64)は「網から取り除くのに手間がかかる上、触手が魚に触れると変色して傷んでしまい、売り物にならなくなる」と嘆く。