約3ヶ月間行われてきたJRAの夏競馬もいよいよ幕を閉じる。今週が2021年の夏競馬のラストウィークだ。
この夏も様々な出来事があった。ソダシやヨカヨカなど3歳牝馬の活躍、2場所開催での関西馬旋風、ドゥラメンテの急死。さらには丸山元気騎手と江田照男騎手の2名が、JRAの騎手として初めてコロナウイルスに感染してしまったことも競馬界を激震させた。
一方で東西若手騎手の飛躍も目まぐるしいものがあったが、特に北海道では横山武史騎手の素晴らしい活躍もあった。
この夏も北海道を拠点とし、1回函館競馬と1回札幌競馬でリーディングジョッキーに輝き、現在行われている2回札幌開催でも2位C.ルメール騎手に6勝差を付けるダントツの1位となっている。
横山武騎手は昨年、前年の54勝から大幅にアップする94勝を記録しブレイク。今年はエフフォーリアと皐月賞で初G1勝利も達成し、今や関東を代表するトップジョッキーの座を不動のものとした。今週は土曜のみ札幌で騎乗し日曜は新潟での騎乗だが、ルメール騎手が6勝の差を逆転するのは至難の技、すでに2回札幌リーディングを確定させたといっても過言ではないだろう。
ファンにとって馬券的にも横山武騎手の存在は大きいが、実のところ札幌開催での勝率は芝19.7%・ダート22.2%なので、5レースに1度しか勝利していない。そして連対率は芝32.8%・ダート30.6%だから、2着以内に入るのが3レースに1度という計算。つまりどんな条件でも買えるわけではなく、それを見極めることが重要だ。
今回は今年の札幌開催での成績から、土曜で札幌に騎乗する横山武騎手の「買いどころ」と「消しどころ」を探ってみた。夏の北海道開催を締めくくる王者の馬券ポイント、ぜひ参考にしていただきたい。
■横山武史騎手の2021札幌全条件成績
・ダート1700m [6.3.1.17]勝率22.2%・連対率33.3%・複勝率37.0%
1~3番人気では15度の騎乗で4.3.0.6(競走中止が2度)と好内容で、5番人気と7番人気でもそれぞれ1勝している。馬券に絡めるのは前走8着以内かつ3走以内に3着以内の好走歴。そして逃げ先行馬であること。1~3番人気なら抑えは必須。4番人気以下の場合は3歳馬で前走一桁着順が好走条件。
・芝1200m [5.2.2.12]勝率23.8%・連対率33.3%・複勝率42.9%
9番人気と10番人気で勝利するなど人気に関わらず結果を出していて要注意の条件。加えて特別戦に限れば8戦して3勝2着1回と好内容で、これは覚えておきたい。
・芝1500m [1.3.1.9]勝率7.1%・連対率28.6%・複勝率35.7%
勝率7%では単勝は買えない。馬券に絡んだ馬はすべて前2走以内で3着以内に好走、5頭中4頭が3歳馬で残り1頭は4歳馬。斤量の軽い3歳馬に騎乗したときに結果を出している。
・芝1800m [5.0.0.8]勝率38.5%・連対率38.5%・複勝率38.5%
勝つか負けるか両極端だが勝率38.5%は魅力。ただし勝ったのはすべて1番人気で、1番人気に騎乗すれば5戦5勝。2番人気以下の場合は8戦してすべて4着以下。データ的には1番人気でなければ消し。
・芝2000m [1.3.2.3]勝率11.1%・連対率44.4%・複勝率66.7%
馬券に絡めなかった3戦はすべて3歳未勝利。3歳未勝利以外であれば【1.3.2.0】とすべて馬券圏内であり、この中には8番人気ペルシアンナイトで3着に好走した札幌記念も含まれる。3歳未勝利なら消し、それ以外なら買いが正解だ。
以上のデータから、今週土曜の札幌開催における横山武騎手の騎乗馬は以下の評価となった。
×札幌 3R 芝2000m ⇒ヒアーズトゥライフ
このコースで3歳未勝利戦は3回騎乗してすべて4着以下。追い込み脚質も連軸向きとはいえず「買えない」。
○札幌 4R ダート1700m ⇒レイトンヒル
先行脚質で横山武騎手向きの馬ということもあり、初ダートだが抑えは必須。強敵が揃ったがここは「買い」。
×札幌 5R 芝1500m ⇒スピードグラマー
芝1500mの2歳戦は4回騎乗してすべて4着以下。トリッキーなコースで経験の浅い2歳馬では馬券に絡めず。新馬戦のここは「買えない」。
◎札幌 6R ダート1700m ⇒キュン
昇級戦だが牝馬限定戦で52kgの軽量、人気と成績的にも条件に合致しておりここは「買い」。
◎札幌 8R 芝2000m ⇒オメガロマンス
未勝利以外の芝2000mは【1.3.2.0】と絶好の条件。ここは黙って「買い」だ!
◎札幌10R 芝1200m ⇒モンファボリ
芝1200mの特別戦は結果を出している条件。このコース、このクラスなら「買い」。
○札幌11R 芝1800m ⇒リューベック
上記のデータ通りに勝つか負けるか両極端の成績だが、やはり勝率38.5%は大きい。前に行ける脚質も有利でここは「買い」。ただしデータ的に1番人気でなければ消しなので、人気次第では抑えまで。
(文=仙谷コウタ)
<著者プロフィール>
初競馬は父親に連れていかれた大井競馬。学生時代から東京競馬場に通い、最初に的中させた重賞はセンゴクシルバーが勝ったダイヤモンドS(G3)。卒業後は出版社のアルバイトを経て競馬雑誌の編集、編集長も歴任。その後テレビやラジオの競馬番組制作にも携わり、多くの人脈を構築する。今はフリーで活動する傍ら、雑誌時代の分析力と人脈を活かし独自の視点でレースの分析を行っている。座右の銘は「万馬券以外は元返し」。