最大クラスのマグニチュード(M)9級の「南海トラフ地震」に関する最新の被害想定に基づき、政府が改定する「防災対策推進基本計画」の全容が判明した。
直接死の死者数を8割減、建築物の全壊焼失棟数を5割減とする目標を掲げた上で、計134項目の重点施策について数値目標を定め、10年以内の達成を目指す。
2014年に策定した同計画の抜本的な改定は初めてとなる。政府は3月に被害想定を公表し、直接死の死者数が最大29万8000人、災害関連死の死者数が5万2000人、建築物の全壊焼失棟数が235万棟に上るとした。
計画改定は新たな被害想定を踏まえたもので、「『命を守る』対策と『命をつなぐ』対策を重点的に推進する」と強調した。
改定により、重点施策を定め、10年以内に達成すべき数値目標を設定する。直接死の抑止に重点を置く「命を守る」対策では、必要な高さを確保した海岸堤防の整備率を23年の42%から30年には50%まで高める。
東日本大震災では、防潮堤の門扉の閉鎖作業で消防団員が犠牲になったことから「開口部の自動・遠隔操作化も推進する」と明記した。社会福祉施設で倒壊の恐れのあるブロック塀の耐震化率を22年の20%から30年に53%へと高める。
ライフラインの維持といった「命をつなぐ」対策では、上下水道が耐震化済みの重要施設の割合を23年の12%から30年に32%に引き上げる。
熊本地震や能登半島地震でも目立った災害関連死の低減に向けては、簡易ベッドなど資機材の確保を通じて、避難所が確保すべき生活環境を示した国際的指標「スフィア基準」を満…
【日時】2025年06月11日(水) 05:00
【ソース】読売新聞オンライン