昨今ネットの左右から大変注目されている、仁藤夢乃氏の「Colabo」が「赤い羽根共同募金」から助成を受けていたとTwitterトレンドになっている案件。
話が分かりにくいので、まとめて概要と推移を説明します。
該当トレンドは「赤い羽根共同募金」ではなく、「赤い羽根福祉基金」から助成があった案件でした。似た名前ですが、組織は異なるんですね。その「中央共同募金会」が広域的かつ継続的に支援をつないでいく為2016年に創設したのが「赤い羽根福祉基金」となります。中央共同募金会からも、このColaboへの助成について、対外的に説明する文書が公開されてます(1)。
◆中央共同募金会による一般社団法人Colabo等への助成について(2023年01月10日)
設立初年度の2016年には、「赤い羽根福祉基金」へ全国から助成応募が231件あり、民間の社会福祉事業者・団体やNPO市民活動団体等の19団体に8,130万円の助成がされている、ということになります。
◆赤い羽根福祉基金 第1回赤い羽根福祉基金活動報告書 2016
そのうちの一件がColaboであり、この赤い羽根福祉基金から助成を受けるようになったのが2018年です。もちろんColabo以外にも多くの助成先の団体があり、赤い羽根福祉基金へは全国から194件の新規助成応募と27件の継続応募があり、新規8団体、継続21団体の合計29団体に1億7,324万円の助成がされています。その助成事業のひとつとして、Colaboは「孤立困窮した青少年に対するアウトリーチ・自立支援モデルの構築プロジェクト」として700万円を受け取っています。
Colabo公式サイトにある2018年度会計報告では受取助成金が13,635,144円となっており、他からも助成金を受け取っている事が伺えます。
ここまでは「そうなんですね」という案件ですが、しかし、選考基準について気になる点があったので以下に抜粋します(3)。
助成決定を却下され採択されなかった理由に「②行政等の公的財源が見込まれるもの」とあります。Colaboが2018年に他から受け取っている助成金6,635,144円も計上されてるんですよね。また、2019年2020年に助成金がどこから来ているのかは社会的に確認する必要があるように思いますが、赤い羽根福祉基金はこのColaboが受け取っている助成金の中身をどこまで把握していたのでしょうか。
また、Colabo公式サイトにある会計方針では、2014年~2017年まで助成金をどこから受け取っているか明記してあるのですが、2018年以降は具体的な名前は書かれず「受取助成金」としてひとまとめに金額が記載されています。Colaboが、公的な助成金か、財団やこれらの基金などからの活動への助成金の出所を分からなくするために、意図的に会計上まとめて計上していると疑われても仕方のない内容になっているのは気になります。
こういった細かいお金の動きを広く丁寧に公開する事でColaboに向けられる誤解も解かれていくと考えます。
また、「中央共同募金会による一般社団法人Colabo等への助成について」の説明で、2018年度から2020年度までの3年にわたり計2,680万円を助成し、既に助成を終了した旨の記載がありますが、そもそも助成期間が最大3年なのでこの書き方は語弊があるかもしれません。
<抜粋2>
「最大 3 年間の助成を可能としていますが、単年度ごとの事業の進捗状況や目標達成を基に、継続助成を判断しています。」
なお、Colaboが赤い羽根福祉基金から受け取ったとされる助成金の内訳は2018年(1年目)700万円、2019年(2年目)980万円、2020年(3年目)1000万円となっています(2)。
Colaboの活動で注目されている活動の一つ、バスによる「夜カフェ」ですが、赤い羽根共同基金会の説明にもあるように、2018年に「赤い羽根福祉基金」の助成金と、クラウドファンティングによって購入されている車両だと思われます。
そして、福祉新聞2018年11月7日掲載の記事に、赤い羽根福祉基金の助成で購入したバスである事、活動の趣旨や、厚生労働省が2018年度に始めた「若年被害女性等支援モデル事業」に採択されたと言及されています。
2017/11/20終了のクラウドファンティングで3,505,000円が夜間巡回バス資金として集まっています。
◆困難抱える女性に出向く支援 バスが拠点の「夜カフェ」オープン(2018年11月07日)
◆夜の街をさまよう青少年と繋がる「夜間巡回バス」を走らせたい!(Ready For 仁藤 夢乃)
(注釈)
(1) 一緒くたにされがちですが別団体である中央共同募金会と赤い羽根福祉基金。サイトをご参照。
中央共同募金会について
https://www.akaihane.or.jp/chuo/
赤い羽根福祉基金
https://www.akaihane.or.jp/kikin/
(2) 赤い羽根福祉基金の助成内容の一覧
赤い羽根福祉基金第 3 回助成決定にあたって
https://www.akaihane.or.jp/.../20180328shinsaniatari.pdf
赤い羽根福祉基金 第3回(平成30年度)助成決定事業一覧(新規)
https://www.akaihane.or.jp/.../20180328saiyouichiran.pdf
赤い羽根福祉基金 第4回(平成31年度)助成決定事業一覧(継続)
https://www.akaihane.or.jp/.../20190327-ketteiichiran.pdf
赤い羽根福祉基金 第5回(2020年度)助成決定事業一覧(継続)
https://www.akaihane.or.jp/.../akaihanekikin-2020keizoku.pdf
一般社団法人 Colabo | 2018年 活動報告書
https://colabo-official.net/.../2019/07/2018colabo.pdf
シェルターについては仁藤夢乃さんが大学卒業を契機に当時の仲間と共に渋谷にある事務所の一角を「コラボスペース」とし、女子高生がふらっと立ち寄る居場所としたのが始まりのようです(3)。これはこれで、大事な事業です。
ただ、会計報告や時期を考えると、2014年の一般社団法人化に合わせて全労災地域貢献助成金を確保したのが活動の資金源に助成金制度を取り込んだ始まりではないかと推測できます。
仁藤夢乃さんの活動をネット上でおっていくと、初期から積極的にメディアに露出しており、一貫して少女の居場所を作りたいという強い思いを感じると共に、その活動を支えるためのお金を集める高い才能を感じます。
その点で言えば、Colaboに関しては、裏で巨大な組織が税金を吸い取っているような陰謀論というよりも、単にお金を集めすぎてしまい、その金額に見合った活動内容や会計処理をしていなかったのでは?と感じました。赤い羽根福祉基金からの助成金に関しても、仁藤夢乃さんが助成金を獲得すべく頑張った結果なのではないでしょうか。
一方で、一点だけ気になった部分があります。序盤でも触れましたが、2018年~2020年の間に行政等の公的財源がColaboの活動資金として盛り込まれていた場合、赤い羽根福祉基金での助成要件を満たさない事になるので、大きな問題に発展してしまうように思います。助成金を受給するための欠格事項に直結する内容ですから、ここの説明がない限り、いつまでもColaboと赤い羽根福祉基金との癒着に関する陰謀論はなかなか晴れないのではないでしょうか。公金だけでなく、一般的に善意とされている赤い羽根のような募金活動が、実際には気の知れた仲間内でおカネを回し合っているだけだった、というような疑惑を向けられるのは彼らにとって好ましくないのは言うまでもありません。
Colaboの活動は意義のある物だと思うのでこの炎上を乗り越え、お金周りを綺麗に清算し、今後も活動を頑張ってほしく思います。
最後に、Colaboは「公益財団法人 日工組社会安全研究財団」から毎年助成金を受け取っています。社会的にイメージの悪いパチンコ業界などが関わっているのは、そのうち新たな火種になるような気がしますのでColaboへの助成履歴を残しておきます(4)。
ただ、パチンコ業界には社会問題がセットになりやすいとはいえ、それだけで陰謀論のようなありもしない事を風潮するような事になってはいけないと、私は考えている事を添えておきます。
(注釈)
(3) 10年前から頑張ってメディア露出しようとしてきた仁藤夢乃さんの過去記事
元・渋谷ギャルが取り組む“難民高校生”の居場所づくり(2013.5.16)
https://shingakunet.com/journal/career/3834/
メディア掲載・受賞歴(~2013)
https://colabo-official.net/about/media/2013-2/
(4) 物議を醸すかもしれないパチンコ関連財団からColaboへの助成の一覧
公益財団法人 日工組社会安全研究財団
公益財団法人 日工組社会安全研究財団の設立経緯
日工組社会安全研究財団は、1987年(昭和62年)に、パチンコ遊技機のメーカーで組織された日本遊技機工業組合(日エ組)の社会貢献活動の一環として、 「公共の安全と秩序の維持に寄与すること」を目的として設立された団体で、同組合の加盟社のご支援を頂き、安全問題解決のための研究・事業を推進しています。
2016年度広域安全事業助成 対象事業(20事業)
Colabo 200万円
https://www.syaanken.or.jp/?p=8154
2017年度広域安全事業助成 対象事業(19事業)
Colabo 200万円
https://www.syaanken.or.jp/?p=9131
2018年度 安全事業(広域)助成対象事業(18事業)
Colabo 250万円
https://www.syaanken.or.jp/?p=9891
2019年度広域安全事業助成 対象事業(17事業)
Colabo 250万円
https://www.syaanken.or.jp/?p=10594
2020年度広域安全事業助成 対象事業(16事業)
Colabo 252万円
https://www.syaanken.or.jp/?p=11205
2021年度広域安全事業助成 対象事業(10事業)
Colabo 259万円
https://www.syaanken.or.jp/?p=11654
2022年度広域安全事業助成 対象事業(10事業)
Colabo 120万円
https://www.syaanken.or.jp/?p=12125
2023年度安全事業に関する助成の募集
事業募集期間 2022年9月1日(木)~同10月14日(金)
事業決定時期 2023年3月中旬
https://www.syaanken.or.jp/?p=12257
文:谷龍哉