中国は2009年から、海外の大学と提携して、中国語や中国文化について教える組織の「孔子学院」を設置してきた。しかし孔子学院には、中国側の政治宣伝を行っているとの批判も高まり、閉鎖される事例も相次いでいる。米国の政府系メディアであるボイス・オブ・アメリカは6日付で、中国は、発展途上国での設置に力を入れている職業訓練校の「魯班工房」を、「孔子学院」に取って代わる存在と考えている可能性があると紹介する記事を発表した。
米国には4年前に118校の孔子学院があったが、現在までに104校が閉鎖された。中国の政治宣伝を行っているとの見方が強まったためだ。そのような流れの中で、「一路一帯」沿線の発展途上国などで事業を展開している教育組織が「魯班工房」だ。
「魯班工房」とは、紀元前5世紀の春秋時代の中国で活躍した伝説的な工匠である公輸盤にちなむ。公輸盤は公輸盤班とも書かれ、現在の山東省辺りで活躍したので魯班と呼ばれることが多い。
魯班工房を立ち上げたのは天津市政府だ。教授する内容はメカトロニクス、応用電子技術、オートメーション、ロボットなどさまざまで、現地の人材育成のニーズに合わせて設定されている。
例えばタイに設立された「魯班工房」では、学生が天津渤海職業技術学院の教師から、応用電子技術を学んでいる。アフリカのマリでは学生が、天津医学高騰専門学校の教師から、中国伝統医学を学んでいる。また同じくアフリカのジブチでは、天津鉄道職業学院の教師が学生に商工業について教えている。将来的にジブチの港湾とアジアとの貿易活性化に役立てるためという。
先進国でも中国による職業訓練の動きがある。英国に開設された「魯班工房」では、中国料理の調理人が、学生に本格的な中国料理の作り方を教えている。
【日時】2022年11月06日(日) 21:30
【提供】RecordChina