よりフィットするスタイルを追求すべく、多くのセッターにチャンスを与えたと考えれば前向きだが、また違う見方をすれば攻撃の柱となるセッターが毎年変わっていいのか、と不安を抱く人も少なくはないはずだ。実際、冨永は今年第一子を出産、現役選手は続けるが今年度の日本代表登録選手には入っておらず、正セッターの大本命と目された佐藤も今年5月に相次ぐケガで引退を発表した。
東京五輪までのカウントダウンが始まる中、誰が正セッターとなるのか。不安の声も消えない中、一気にその座へ躍り出たのが今季初めて日本代表に選出された20歳のセッター、籾井あきだ。
八王子実践高2年時にセッターへ転向し、19年にJTマーヴェラスへ入団。直後からスタメンセッターとして起用され、19/20シーズンにVリーグを制覇。続く20/21シーズンも正セッターとして試合出場を重ねただけでなく、ルーキーイヤーよりも落ち着いたゲームメイクを見せる活躍でチーム初の連覇を成し遂げた。
これまでも日本代表に呼ばれてもいいのではないか、という声もあったが、ペルーとスペイン人の両親を持つ父、ペルーと日本人の両親を持つ母と共にペルー国籍だったため、日本代表候補の対象にならなかった。19年に日本国籍を取得したため、アンダーカテゴリーも含め、今回が初の代表選出となった。
176cmという高さと、レフト一辺倒ではなくミドル、ライト、バックアタックも絡めた多彩な攻撃展開を武器とする籾井は、中田監督からも「落ち着いたゲームメイクができている」と信頼を寄せられ、1年6か月ぶりとなる有明アリーナでの中国との親善試合にも出場。ネーションズリーグでも12試合中10試合でスタメン出場し、国際バレーボール連盟のホームページでも籾井に着目した記事が掲載されるなど、成長も活躍も著しい。
[匿名さん]