オーストラリア・タスマニア島の海で、海底を泳がずに足を使って「歩く魚」が見つかったと、タスマニア大学などの調査チームが発表した。
タスマニア大学の海洋・南極研究機関(IMAS)と市民団体「リーフライフサーベイ(RLS)の官民合同調査チームは今月半ば、タスマニア島南東部に位置するフレデリック・ヘンリー湾で、胸ビレの後ろに足が生えていて、海底を歩いて移動する新種の「レッド・ハンドフィッシュ(Thymichthys politus)」を発見した。
豪州環境省によると、レッド・ハンドフィッシュの仲間は1844年に最初に発見され、その後、50年代と80年代、90年代に目撃されたが、生態や行動はほとんど解明されておらず、同国の絶滅危惧種に指定されている。
全長14センチほどの体には、表面をイボのような突起で無数に覆われていて、ウロコは見えない。
これまでに確認された種類は、河口付近から大陸棚までさまざまな場所に生息しており、その姿は、全身が赤いタイプと、青みがかった赤黒いタイプだが、今回新たに見つかった新種は、モヒカン頭のようなトサカが付いていて、ニワトリを彷彿とさせる姿をしている。
調査チームによると、発見したのは1匹だけでなく、20〜40匹の群れが、テニスコート2面分の狭い海底に集まって、海底をゴソゴソ歩いていたという。
IMASの代表のアントニア・クーパー氏によると、レッド・ハンドフィッシュの仲間は、緑藻類に産卵することが知られるが、ウニの増加で産卵場所が減少していることと、環境汚染や海水温の上昇がたたって、生息数の減少が危惧されていた矢先だったので、今回の新種発見は、未知の新種がほかにもいる可能性につながると期待を寄せている。
【日時】2018年01月29日(月) 15:05
【提供】ハザードラボ