「量子暗号通信でやりとりされる情報は、大規模な量子コンピューターが実現したとしても物理法則上、絶対に暗号を解読できない。そんな外から盗聴しようがないネットワークを中国は長大な規模で実現してしまった。(軍事的に対立関係にある)米国などにとって、これは安全保障上のバランスが崩れたことを意味する」とCRDSシステム・情報科学技術ユニット フェローの嶋田義皓氏は説明する。
サイバー空間の「万里の長城」
中国が作り上げた驚異の量子暗号通信網は、2021年1月に科学誌Natureに掲載された中国科学技術大学(USTC)らのグループによる論文で全貌が明らかになった。見えてきたのは「サイバー空間の“万里の長城”」ともいうべき、外敵から完璧に防御する巨大な暗号ネットワークの姿だ。
上海市から北京市までの2000kmのネットワーク、さらに上海市や合肥市、済南市、北京市といった中核都市内には網の目のように量子暗号通信網が張り巡らされている。
地上のみならず、宇宙空間にも量子暗号通信網を築く。中国は2016年、世界初の量子暗号通信衛星「墨子号」の打ち上げに成功。この量子暗号通信衛星を介して、中国・南山区と中国・興隆県を結ぶ2600kmの暗号ネットワークも稼働している。
地上と衛星を含めた全長は実に4600kmだ。この暗号ネットワークを中国国内では既に、中国・新華社通信や中国工商銀行、中国・国家電網などが機密情報を送受信のために活用しているとされる。
光の最小単位を暗号鍵共有に活用
量子暗号通信は、正式には量子鍵配送(QKD:Quantum Key Distribution)と呼ばれる技術だ。データを暗号化するための「鍵」情報を、量子力学の原理に基づいて送受信する。
サイバー空間の「万里の長城」
中国が作り上げた驚異の量子暗号通信網は、2021年1月に科学誌Natureに掲載された中国科学技術大学(USTC)らのグループによる論文で全貌が明らかになった。見えてきたのは「サイバー空間の“万里の長城”」ともいうべき、外敵から完璧に防御する巨大な暗号ネットワークの姿だ。
上海市から北京市までの2000kmのネットワーク、さらに上海市や合肥市、済南市、北京市といった中核都市内には網の目のように量子暗号通信網が張り巡らされている。
地上のみならず、宇宙空間にも量子暗号通信網を築く。中国は2016年、世界初の量子暗号通信衛星「墨子号」の打ち上げに成功。この量子暗号通信衛星を介して、中国・南山区と中国・興隆県を結ぶ2600kmの暗号ネットワークも稼働している。
地上と衛星を含めた全長は実に4600kmだ。この暗号ネットワークを中国国内では既に、中国・新華社通信や中国工商銀行、中国・国家電網などが機密情報を送受信のために活用しているとされる。
光の最小単位を暗号鍵共有に活用
量子暗号通信は、正式には量子鍵配送(QKD:Quantum Key Distribution)と呼ばれる技術だ。データを暗号化するための「鍵」情報を、量子力学の原理に基づいて送受信する。