今年3月に行われた柔道整復師の国家試験の問題を漏洩(ろうえい)したとして、警視庁は5日、公益財団法人「柔道整復研修試験財団」(東京都港区)理事の三橋裕之容疑者(64)=東京都北区=と、試験委員の黒田剛生(たけお)容疑者(62)=東京都葛飾区=を柔道整復師法違反容疑で逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。
捜査関係者によると、2人は共謀して今年2月、三橋容疑者が講師を務める専門学校の教員に、必修問題の要点となるキーワードを記したデータなどを複数回にわたってメールで送り、国家試験に関する情報を漏洩した疑いがある。黒田容疑者は試験問題の作成を担当していた。
柔道整復研修試験財団は同国家試験の指定試験機関。試験は毎年1回実施され、3年以上専門学校などで養成を受けた人が受験できる。近年の受験者は毎年4千~7千人で、6~7割程度が合格しているという。今年3月の試験では、受験者数4359人に対し、合格者は2740人(62・9%)だった。
国家試験の漏洩は過去にも事件になっている。
2015年5月に実施された司法試験では、問題を教え子に漏らしたとして、問題作成などを担当する考査委員で明治大法科大学院の元教授が国家公務員法(守秘義務)違反罪で同年10月に在宅起訴された。教え子は採点の対象から除外され、5年間、司法試験の受験を禁じられた。
09年8月には、広島県尾道市の専門学校の元副校長が、看護師の国家試験問題を生徒に漏らしたとして保健師助産師看護師法違反(試験委員の不正行為の禁止)容疑で、同県警に書類送検された。
【日時】2022年10月05日 13:00
【ソース】朝日新聞デジタル