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日本の近代建築の巨匠、辰野金吾が設計した日本銀行本店本館では、築121年を迎える今年、免震化工事を進めている。

国の重要文化財に指定されている歴史的建造物の土台の下に空間を設け、下から免震装置を設置するという前代未聞の大規模工事の秘密をご紹介しよう！

1896年に完成した日銀本店本館は、上空から見ると「円」の形をしていることで知られる日本初の本格的な明治洋風建設。

東京駅の赤レンガ駅舎の設計で知られる辰野金吾が、欧米諸国の銀行を1年あまりかけて視察し、ベルギー国立銀行を参考にネオバロック様式やルネサンス様式を採り入れた。

ドームを中心に左右対称の建物は、地上3階、地下1階の構造。

当初は総石造りの計画だったが、着工した翌年の1891年に岐阜県を襲ったマグニチュード（M）8級の濃尾大地震の教訓から、外側に石を積み上げた石積みレンガ造りにすることで耐震性を強化。

功を奏し、1923年の関東大震災の揺れ（M7.9）は耐えたが、地震に伴う出火でドームや内装の大半が消失した。

しかし、今後30年間に70%の確率で起きるとされる首都直下地震で想定される被害が、国内最大となるおそれがあることから、日銀は中央銀行としての機能を強化しようと、2016年10月、免震化工事に着手。

今回の工事では、鉄筋や鉄骨を使っていない建物の特徴を活かしながら、地下6メートルにあるコンクリートの土台の周囲と下に空間を掘って、新たな土台を設置。

既存の土台との間に108個の免震装置をはめ込んで、耐震化を強化する計画だ。

国の重要文化財を傷つけないためにも工事期間中は、総重量7.5万トンの本館建物を約500本の頑丈な杭で支えながら、掘削工事を進めていくという。

日銀によると、昨年秋から始まった工事は、本館の周り、地下の掘削、新たな土台の構築を経て免震装置を設置。

最後に隣接する旧館と新館と接続して一体化を図ることでさらに免震性を高める計画で、完成は2019年夏ごろを予定している。