🌎 国際ニュース

　ドゥテルテ大統領は16日、大統領府内でソット上院議長らに対し、現在、外出時に義務付けられているフェイスシールドの着用について、病院内を除いて着用義務を撤廃する方針を示した。同議長が17日にツイッターで明らかにし、保健省に適切な規則改正を行うよう求めた。大統領による突然の防疫措置の変更指令に、政府関係者らが対応に追われている。18日付英字紙スターが報じた。

　フェイスシールドの着用義務については、モレノ・マニラ市長が最近、「貧困層にとって経済的負担になっている」として政府に撤廃を呼びかけていた。また、世界でもフェイスシールドの着用を義務付けているのは比だけとの声も出ていた。フェイスシールドに関する大統領の突然の表明は、このような声に配慮したものだとみられている。しかし、ドゥケ保健相は17日、「フェイスシールドはコロナ感染から身を守ることに役立っている」として、あくまで着用義務の継続を大統領に要請すると表明した。同相は「ワクチンの接種率がまだ３％台に過ぎず、感染対策を重ねることは良いことだ」と述べ、ワクチン接種が広く普及するまでは従来の防疫措置を実施すべきとしている。

　また、ロケ大統領報道官も17日の記者会見で「大統領の最終決定が出るまで、現行の着用義務に関する政策は維持される」と表明した。保健相も、政府のコロナ対策に関する政策を勧告する閣僚級の新型感染症省庁間タスクフォース（ＩＡＴＦ）が今後、病院や職場、商業施設を含む密閉された場所や公共の場所でのフェイスシールドの着用義務を維持すべきか修正すべきかなどを協議し、大統領に勧告するとの見通しを示した。

　フェイスシールドの着用義務について、下院保健委員会の委員を務めるベルナデッテ・ディ下院議員（政党リスト制）は「フェイスシールドの着用は世界保健機関もこれまでに推薦したことがない。着用を義務づけているのはフィリピンだけだろう」として見直しを求めている。ロケ大統領報道官はワクチンの接種が進めば、「フィリピン人は今年のクリスマスをマスクなしで祝うことになるだろう」と述べるなど、防疫規制緩和を期待する声明を出しているが、その前にフェイスシールドの着用義務を撤廃できるかどうか注目される。（澤田公伸）