🪓 ﾒﾙﾃｨﾌﾞﾗｯﾄﾞ攻略･地方

「私立普通科メルブラ学園」


七夜「暇だ暇だ…誰も居ないのは暇すぎる」

暇ってのは重要な事だが多少困る
遠野や弓塚は部活中、ワラキア先生は職員会議
白猫の処へはもう行ってきたし…
大抵の親しい者達は暇ではない
故に俺は暇を潰すことができない
それならば…

七夜「翡翠のとこで飯でも食うか…」

まったく…なんだこの短絡思考は
と、自虐しながらも俺の歩みは家庭科室へ向かってーー

七夜「ん？」

目に飛び込んできたのはある女の後ろ姿だった
長い髪におさげが印象的なあの女は…
確か…シオンという名だったか
部活中ではないみたいだが、一体何処へ行くつもりかと
思ってみれば、彼女は目の前の階段を上がっていった

七夜「ま、どうでもいいか…と？」

階段のを上がって？ちょっとまて
あの階段の上は確か屋上だよな？
鍵も掛かってる何も無い場所に何の用がある？
しかし彼女は下りてこない

七夜「おかしいな……っ！…否考え過ぎだろ…」

だが、その勘が頭から離れない
気が付けば足は屋上に向かっていった

七夜「…鍵が…壊されて…やはりか！」

扉を開けるとシオンが防護フェンスに寄りかかっていた
彼女はこちらを虚ろな目で一瞥して
　フェンス　を　飛び　　越え


七夜「と、いうわけで保健室に運んで来たんです
　　　…で、彼女は大丈夫ですか？一体なんであんなことを？」

シエル「シオンさんは大丈夫ですから安心してください
　　　　けどさっきの『お姫さまだっこ』は似合ってましたね〜
　　　　で、どうでした？抱き心地とか温もりとか？
　　　　かるい？やわらかい？どうだった王子様？」

七夜「冗談を聞く気分ではないのですが？」

シエル「わざと冗談を言ってるのですけどね〜
　　　　仮にも家族の前で、あなたに詳細な内容を話せると？」

ワラキア「………」

七夜「…！…いや失礼。確かに俺は場違いだ」

ワラキア「いや、いいんだ七夜君
　　　　　このままだと納得しにくいはずだ
　　　　　それに君は妹の恩人でもある
　　　　　ありがとう、迷惑をかけた」

七夜「いや…そんな…」

シエル「いいんですか？」

ワラキア「ああ、彼は大丈夫だ、心配無い。
　　　　　…妹…シオンはね、少し病んでいるのさ
　　　　　大抵は普通なのだが、たまに急にこうなる
　　　　　原因は、幼少のころにあったからだと思うが
　　　　　境界例…境界性人格障害という」

七夜「ボーダーライン」

ワラキア「そのとおり、詳しいな
さっきの飛び下り自殺未遂も「振り」だ。
　　　　　君なら助けてくれると見越したんだろう。
　　　　　まったく迷惑をかけるな、すまぬ」

七夜「否、気にしないで下さい」

ワラキア「本当はね、妹が心配だったからこの学校に来たのさ
　　　　　私の前では気丈に振舞ってくれてても
　　　　　今日みたいにいつこうなるかわからんからね
　　　　　公私混同だろう？」

七夜「ですがそれは悪い事ではないと思います」

シエル「シオンさんに必要なのはあなたですから…
　　　　どうかもっと胸を張ってください」



七夜「とと、もうこんな時間ですか。では失礼します
　　　目を覚ましたら宜敷く言っといてください」

ワラキア「ああ、今日は本当にありがとう」シエル「気を付けて帰ってね、おつかれさま」

>>691から続き


ワラキア「やれやれ、この子にも困ったものだ
　　　　　普段は大丈夫なのに急に『変わる』からね」

シエル「しかし七夜君。ボーダーラインなんて言葉よく…」

ワラキア「知ってた。詳しいとは思わなかった、あぶなかったよ
　　　　　『もういっこ』は気付かなかったみたいだったけど」

シエル「『もういっこ』？」

ワラキア「君もわからないみたいだし
　　　　　特に教える必要はないんだけどね」



シオン「…ん…おにいちゃん…」

ワラキア「寝言、か。大丈夫、大丈夫だ」

シエル「愛されてますね、それに…」

ワラキア「愛してるよ、何か？」

シエル「いえいえ、いい兄妹ですね」

ワラキア「そうとも」



シオン「寝言は寝て言え、恥ずかしくて起きれない…」