🪓 ﾒﾙﾃｨﾌﾞﾗｯﾄﾞ攻略･地方

　————第二日目　ＡＭ１：０５　キャンプ小屋　枕投げチームＡ　秋葉視点

秋葉「さて、チームは決まった訳だけど……」
　チームＢ、アルクェイドさん達のいる方向とは真逆の小屋の隅で、私達はミーティングを始めた。
　とりあえず改めて各人員をチェックする。
秋葉「翡翠、琥珀、七夜さん、軋間さん……使いやすい布陣だけれど、総合力に欠けるわね」
七夜「まあ、割と一般人チームと吸血鬼チームとで別れたんだからな」
軋間「自力で差が出るのは仕方あるまい」
　チーム分けの時に変な拘りを入れなければ良かった。
　せめて現状からして先輩はこちらに欲しかった、琥珀はいらないし。
翡翠「秋葉様、聞こえていますが」　
秋葉「何か問題でも？」
翡翠「いえ、特に」
琥珀「…………」
　さて、結局は殆ど個人技の話になるし、男手二人は前衛に出て貰うか。
　純粋な投擲勝負は腕力がものを言うし、今回ばかりは私も下がるしかないわ。
　七夜さんは乗り気じゃなさそうだけれど、こういう狭い所では彼が誰より頼りになる。
　軋間さんのパワーもアルクェイドさん並だし、援護に徹していれば決して不利じゃない。
　後は私もまだ能力を把握しきっていない翡翠の意外性が、何処までプラスに働くかが鍵か。
七夜「あまり考えても詮がない。なるようになるさ、秋葉」
秋葉「そうね……でも兄さんがかかっているということを忘れないで」
七夜「やる気が削げることを言わないでくれ」
秋葉「いいえ、是が非でも勝ってもらいます！」
　だって、向こうは例え勝っても味方同士で争奪戦があるもの。
　だけどこっちが勝った場合は、私が兄さんを独り占めできるッッ！！
秋葉「こんなに楽な手はないわ！」
軋間「む、燃えているな」
翡翠「秋葉様、ゲージは節約してください」
　翡翠に窘められ、少し落ち着く。
　よし、心の準備は万全ね。
琥珀「秋葉様、私も頑張りますよ〜！」
秋葉「あ、琥珀はメカヒスイの修理でもしといて」
琥珀「この為に超スピードで終わらせました！」
メカ「隣ノ柿ハ良ク客食ウ柿ダダダダダ」
軋間「…………琥珀」
琥珀「は、はは……やっぱり修理してます」


林間学校は100レスに一度蘇る————偶然

　————第二日目　ＡＭ１：０５　キャンプ小屋　枕投げチームＢ　シエル視点

アルク「んふー、何して遊ぼうかなー、志貴で」
シエル「アルクェイド、そういう台詞は勝ってからにしなさい。それに、貴方はいつも遠野君で遊んでるでしょう」
　まだ勝負が始まってもいないのに、一人そっちのけで遠野君に手を振っている。
　まったく、私の遠野君を一体なんだと思ってるんだか、このあーぱー吸血鬼は。
シエル「こほん、とりあえずは作戦を立てましょう、相手が相手ですから、容易に勝てるとは——」
ワルク「はっ、そんなもの！　全部ズタズタよズタズタ！」
シエル「…………」
さつき「あっ、シオン、ダメだよこんなところ……でっ……ふ、あっ！」
シオンＴ「はあ、はあ、さつき……さつき！」
シエル「…………くっ」
　作戦を立てようにもこれだ。
　アルクェイドは、あれでまあ本気になると役に立つからいいとして。
　残ったのは短絡馬鹿と、薄幸少女に変態嗜好の吸血鬼。
　ちなみに今も妙に艶っぽく絡みつつ、弓塚さんの血を吸っている。
　所詮は異端ども、体力しか能がない、作戦なんてまったくの無意味。
　自分もかつてはそんなだったかと思うと、腹が立ってくる。
アルク「シエル」
シエル「なんですか、アルクェイド」
　珍しく神妙な面持ちで、アルクェイドが話しかけてきた。
アルク「妹、本気みたいよ。この狭い場所じゃ七夜も侮れないし」
シエル「そうですね、軋間さんもパワーは貴方に匹敵しますから」
　問題は三人、総合的に見てパワーだけはこちらが圧倒的ではあるが、油断できない相手だ。
シエル「このチームだと最悪私達二人で相手をすることになりかねません、気を引き締めましょう」
アルク「そうね……でも、私達って、組んだら無敵だとは思わない？」
シエル「貴方と共闘なんて、こんな事でもなければ御免被りますが……味方としては最高に心強いですね」
　互い、鋭い視線を交錯させる。
　それは威嚇するようでもあったが、そこに殺気も憎しみもなかった。
アルク「やるわよ、シエル」
シエル「ええ」
　そのまま討つべき相手に眼を向け、強く頷いた。
ワルク「あっはっは！　粉々バラバラ！」
さつき「あっあっあっ」
シオンＴ「クチュクチュ」
　決して後ろは見ないことにする。