現役時代はプロ入り2年目の1991年に最多勝、最優秀防御率、MVPに輝くなどチームの優勝に大きく貢献。通算100勝100セーブを達成している名投手であり、監督就任前には投手コーチを任されていた。その経歴から期待されたのは、投手陣の立て直しだった。今のところ、その期待に応えられているとは言えない状況だ。昨年は森下暢仁、今年は栗林良吏、森浦大輔、大道温貴と抜擢したルーキーが結果を残しているのは、プラスに見えるかもしれない。
その一方で気になるのが、起用法である。森下は、昨年登板した18試合のうち7試合で120球以上を投じており、最後には疲れから登板を回避してシーズンを終えている。シーズン終盤は優勝争いに絡んでいない消化試合だっただけに、球数の多さはとにかく気になった。今年は幸い「二年目のジンクス」に陥っていない森下だが、大学時代に故障歴があるだけに今後が心配だ。
今年クローザーとして大活躍している栗林は、5月8日の中日戦で8回ワンアウト満塁の場面から登板しており、いわゆる“イニングまたぎ”の起用となっている。シーズン終盤の優勝を争う展開であれば、理解できなくもないが、5月上旬の段階で、しかもルーキーにこのような起用をするというのは疑問が残る。結果は、栗林が見事にピンチを脱出し、最終回も抑えて勝ちには繋がったが、仮に失敗していたら、その後のシーズンに大きな影響を与えていたことは間違いない。
リーグ3連覇を支えた中崎翔太、フランスア、今村猛、一岡竜司といったリリーフ投手が軒並み故障や不調で一軍の戦力になっておらず、先発の大瀬良大地、野村祐輔も少し力が落ちてきているように見える。
こうした状況だからこそ、若手に頑張ってもらうという考えもあるが、無理を重ねては、また同じ状況を招く可能性は高い。ピッチングコーチとして、ブルペンを任されていた立場にもかかわらず、投手陣の中長期的な立て直し策が見えてこないのは、大きな課題と言えるだろう。