(続き)
ここで、どうしても腑に落ちないことがある。なぜ「恋するフォーチュンクッキー」なのか——?他の楽曲ではいけなかったのか——?
そもそも、恋チュン動画作成を拡大させた発端は何か——?ネット上で話題を呼んだ自治体動画の中から、いくつかを選び、動画の制作過程を示す公文書を情報公開請求してみた。
先陣切った「佐賀県」
まず佐賀県。開示された文書によれば、動画作成の目的は次のようなものとなっている。
《全国的にも知名度の高いアイドル(AKB48)というサブカルチャーを活用し、佐賀県庁職員自らが出演することで、文化に親しむ機運醸成を図るとともに、県民が文化に親しむ風土づくりを行う。
また、動画を通して、県内外に文化による情報発信を行い、佐賀県をPRすることを目的として、「恋するフォーチュンクッキー」の動画を作成する》
恋チュン動画の佐賀県庁バージョンは、200万アクセスを達成し、話題にもなった。しかし、《文化に親しむ機運醸成》や《県民が文化に親しむ風土づくり》、《県内外に文化による情報発信を行い、
佐賀県をPRすること》といった目的は達成されたとは思えない。他の自治体が次々に恋チュン動画を作成し、ネット上で公開するに及んだ時点で、佐賀県の独自性は失われているからだ。