「陰謀論」は信じていない
大分県内でも「12歳以上」への新型コロナウイルスワクチン接種が進んでいた9月、臼杵市の男性はチラシを手に中学校の校門に立った。子どもへの接種に疑問を投げ掛けるためだった。
効果だけでなくリスクも伝えるべきだと悩んだ末の行動。だが、思いが募るほど友人は離れ、周囲の目を気にして父親は嫌悪感を示すようになった。
ウイルスの存在を否定する荒唐無稽な「陰謀論」は信じていない。打つ人の判断も尊重している。それなのに、「ネットのデマに操られている」「非国民」といわれのない言葉を浴びせられる。リスクに対する慎重な姿勢が、国を挙げてワクチン接種を推奨する今の社会では、“変人扱い”されていると感じている。
「ワクチンの安全性に重大な懸念は認められない」と強調する厚生労働省。接種後の千人を超す死者数について担当者は「注目度が高い医薬品では医療機関からの報告が増える傾向にある」、インフルエンザワクチンとの死者数の開きは「異なる医薬品を単純に比較できない」と解説する。「これが『正しい情報』なのか」。男性は納得できないでいる。