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🐮 岩手雑談総合


No.8615172
合計:
#309
>>308
 上記引用から明らかなように、同じく南京方面で営業する邦人経営の売春施設とはいえ、民間の公娼施設(貸座敷)と軍専属の慰安所とでは、警察の管轄区分にはっきりとした差があり、その区分を今後とも維持していくことが総領事館と軍の間で再確認されたのである。前者の取締は領事館警察が担当するが、後者は軍事警察の領分とされ、領事館警察の関与の外におかれる。その結果、慰安所創設時の1937年12月の協定では、総領事館の分担とされていた慰安所酌婦の営業許可と登録の業務も、上記引用の協定では軍に帰属することとなり、総領事館側は事後に通報を受けるだけになったのである。
  ただし、利用者が軍人・軍属に限られず、一般民間人も利用する非専属の慰安所については実質的に一般の貸座敷と同等であるとして、領事館警察の管轄に移されることがここで合意されている。それ以前は、この種のものも軍の指定を受けた慰安所として領事館警察の管轄外におかれていたのであろう。短期間のうちに多数の慰安所を設けようとした軍の意向と、戦場景気をあてに一儲けできるうえ、領事館警察の規制から逃れられるのを期待した売春業者のねらいとが一致した結果、そのような状態が生まれたのであろうが、一般の公娼施設=領事館警察、軍専属慰安所=軍事警察との分界区分にあうように、「正常化」がはかられたのであろう。
  なお、この南京での議決事項の(六)の前半部分とまったく同文面の項目が、1938年3月に上海で催された陸海外三省関係官連絡会議の決定した「中支那方面陸海軍占領警備区域内営業取締規定」(前掲吉見編資料集p.181-182)にも見出されるので、上の管轄区分は南京だけに限られるものではなく、少なくとも華中の占領地全般に適用されたと考えて間違いない。陸軍慰安所が軍の管理下にある、軍付属の性欲処理施設であることがますます明確になったといえよう。
  なお、一般公娼施設と軍慰安所との間に明確に警察の管轄区分がなされていた点で、軍事警察が占領地の風俗営業取締を担当していた日露戦争中の満州軍政や第一次大戦期の青島占領とは性格を異にするのである。


[ 匿名さん ]
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