『ニコラス気取りの夜』
七夜「しかしな……一応サンタと名乗るからには、衣装が必要なんだよな」
作戦会議の場を遠野の屋敷から軋間宅へと移し、俺達は胡坐を組みながら頭を捻らせていた。
軋間「言われてみれば調達に困るな。遠野からは何かないのか?」
七夜「何も。あいつは表で起きてる間に彼女達の機嫌取りらしい。旨い所だけ独り占めという寸法だな」
軋間「とはいえ、俺達が童と戯れに興じた所で絵にならん。適材適所という事だ」
七夜「違いない」
賛成した以上は志貴に文句を垂れても詮のない事だ。
元よりアイツの為に始めた訳でもなし、愚痴を垂れる暇があれば考えよう。
七夜「衣装に関しては——季節はクリスマスだ、探せば何処かに売ってるだろう。
安価で手に入られるとも思えんが、志貴に後で請求すればいいな」
軋間「承知した。ただすまんが、俺は被服に関して明るくない、調達は頼めるか」
七夜「安心しろ、そのつもりだ。
しかしそれだと押しが一歩足りないな、何かこう、演出が欲しい」
軋間「何だ、随分と興が乗り始めているな」
軋間に指摘され、自分がいつもよりも饒舌なことに気がつく。
言われてみれば、少し浮かれているかもしれない。
クリスマスというイベントゆえか、それとも元来こういったタチなのか。
お祭り好きだという自覚はなかったが、この余計な面倒事を真面目に考えるのは、存外悪くない。
七夜「そうだな、割と楽しんでいる。悪いか?」
軋間「上出来だ。俺とて、不機嫌な貴様と組むのは本意ではない。
それに——馬鹿をやれる相手が、お前しかいないのでな」
相変らず変化に乏しい真顔の軋間が、わずかに口元を釣り上げながらぽつりと語った。
俺にとってはそれは意外な反応だったが、なかなかどうして、心地良いものだった。
七夜「——く」
軋間「——ふ」
不意にこみ上げた笑いをかみ殺す。
それは相手も同じようで、わずかに俯きながら肩を揺らしていた。
七夜「よし、やるからには派手にしよう。そうだな、トナカイにソリ引いてもらうか」
軋間「それはいいな、馬より風情がある」
淡々と、二人でつまらない幻想を語り合う。
その間、決して声にする事はなかったが、俺達は絶えず笑っていた。
>>13氏
あまり凝らなくても、この位で丁度といいと思いますよ
紹介文は
>>14氏みたいな感じがいいんじゃないすかね
あ、ちなみにこれコテハンじゃなくて作品タイトルですんで一応