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🪓 メルティブラッド攻略・地方


No.656399
合計:
#869
前回は>>751です。
 
俺たちは電車に乗り、駅からバスを使って弓塚さんがいるという町にやってきた。
人里離れたというほどではないが、町は小さく、周囲には大きいデパートが一つ目立っている。
それ以外は目立つ建物はなく、受けた印象は普通の町。
ただ一つ他の町と違うことがある。
それは、人がいないと言う事。あたりに人影はなく、公園のブランコが淋しくきいきいと音を立てている。
恐らくは住民のほとんどが他の町に避難したか、自分の家に閉じこもっているのだろう。
当然といえば当然だ。ここ数日でどれだけの行方不明者が出たかわからない。
そしてもう一つ他の町と違うところがあった。
警察官が明らかに多い。熱心に現場を捜索する者もいれば面倒そうに歩いているだけの者までさまざま。
 
「こんな状態ですけど、どうするんです?」
「ちょっとしたルートで空家を一軒確保してあるのでそこを拠点にしましょう」
そのルートが気になったが、今はあえて追及しまい。
シエル先生は相変わらずの法衣。七夜は制服でギブス。俺も俺とて外出用の普段着。
危機感が足りないという感じはするが、物々しい格好をしていてもそれはそれで動きづらい。
 
シエル先生の言う空家に着く。もぬけの殻だが、壁の染みや襖・障子の破れなどからわずかな生活感が漂っている。
どうやら、住人が逃げ出した家を拝借しているらしい。けれど生活雑貨がほとんど残されていないところを見ると、あわただしく逃げた様子でもない。
のんびりした住人だったんだなあなんてのんびりした思考を広げる。
 
「さて、お二人にお聞きしたいことがあるんですが」

「ご飯はレトルトカレーにします?それともみんなで作ります?」
一番のんびりしてたのはこの人だった。
 
部屋割は七夜が一階の居間、俺は二階の部屋その一。シエル先生は二階の部屋その二。
「遠野君は任意同行ですので」ということで俺だけなぜかベッドが与えられた。
荷物を置いたら、早速街に繰り出して警察の目をかいくぐりながらも下調べをする。
周囲の地形や建物、いざという時の逃げ道など。だいたいを地図に写し終えたあたりで日が暮れ、今日はここまでということになった。
 
「今日はレトルトでありながらも究極と言っていいほど安定した味を誇るボ○カレーですよー」
目の前に見慣れた食べ物がスプーンと共に置かれる。なるほど、この美味しそうに見せる盛り方はプロの域かもしれない。
それにしても、若い男女三人が無言でカレーというのは実に滑稽だ。スプーンが皿をつつく音だけが空間を支配している。
「先生、それって二杯目じゃ・・・」
「そうですけどなにか?」
嬉々として二杯目を盛る屈託のない先生の目に、俺はそれ以上は何も言えなかった。


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