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🪓 メルティブラッド攻略・地方


No.656399
合計:
#957
 ————第二日目 AM1:33 キャンプ小屋 チームB シエル視点

さつき「私の出番これだけー!?」
 爆音の後に訪れた、寒々しいまでの静寂。
 呆気に取られる私達の目を覚ますように、その叫び声は響き渡った。
 隣を見れば、軋間君の投擲に驚いてる隙に、弓塚さんがいつの間にか接近していた七夜君に攻撃を許していた。
シエル「なっ、いつの間に!?」
 残ったBチームのメンツは、私の言葉を封切りに揃ってその場から飛び退き、突然の侵犯者と間合いを取った。
アルク「ちょっと、あれが陽動ってわけ? 単純な馬鹿力なら、私以上じゃない!」
七夜「あまり日本の鬼とやらを嘗めるなってコトだろ? そら、次が来るぞ」
 立ち止まっている暇などない。
 まるで大筒に砲弾を装填する作業のように、軋間君が次の投擲に入る。
 アルクェイドも咄嗟にその動作の隙を突いて枕を投げるが、秋葉さんの正確な投擲に軌道を逸らされた。
シエル「七夜君っ! 手ぶらでそこに立っていることを後悔しなさい!」
 再び背中に轟音と爆風を受けながらも、私はそれを無視して七夜君に片手に掴んだ枕を投げつけた。
七夜「おっと」
 二つ、三つ、四つと、地面に置いてあった枕をも掴み上げ、一寸の間もなく連続投擲。
 しかし七夜君は余裕を含んだ笑みを浮かべると、闇の中に紛れるように姿を消す。
 投げた枕は全て彼がいた場所を通り過ぎ、あらぬ場所へと飛んでいく。
シエル「読めています、そこですっ!」
 下半身を固定したまま思い切りアッパーを振り上げる要領で、地面の枕を掴み勢いそのままに枕を天井へ向けて投げつける。      体のしなりを用いた閃光のような投擲は、耳障りな音を立てて目標へと襲いかかった。
七夜「流石、バレているか」
 当たると、確信した先には彼の姿がある。
 予想通りの軌道であり、直撃は避けられない筈。
 まるで蜘蛛か何かのように天井へ張り付いていた七夜君だが、次の動きは更に奇怪なものだった。
七夜「でもまだ、詰めが疎かだな。職業の割に優しいな、先輩」
シエル「なっ!?」
 ただ重力に対し真逆に張り付いてるだけでも奇妙だというのに、七夜君はその状態で天井を走り始めた。
 四肢をガリガリと蟲のように動かし壁際まで移動して、音速で放たれた枕を難なく避ける。
 そのまま壁に飛びつくと、三角飛びの要領で、こちらに急降下し、気がつけば私の眼前に彼はいた。
七夜「お株を取っちまったかな。でも、アンタが悪いよ。迎撃なんてらしくない」
 いつの間に手にしていたのか、右手には枕がしっかりと握られている。
 この距離での放たれれば回避は不能、進路も退路もありはしない。
 その蜘蛛は、さも楽しげに口の端を歪め、ほぼ密着した近さで、右手を振り上げた。
 これで決まった、と、彼こそが確信したことだろう。
 刹那に、私の思考がフル回転する。
 思考が感覚をすっ飛ばした速さで突き進む。
 私が今選択する行動、そもそも私が得意とすることは何か、この位置、この位置は、この位置こそは。
 相手はこちらを投擲を中心とした戦闘スタイルと理解していると理解。
 ならば可能、それが直線であり私を狙ったものであるならば、確実にそれは可能な選択。
 超近距離で繰り出された拳は光速と何が違おう?
 ならばそれを超える閃光を以って穿光としろ。
 感覚と運動がついに思考に追従、既に余裕は0秒。
シエル「いえ、貴方が悪いんですよ? ここは私のリングです」
 
 ゴ 
 
 摩擦で皮膚が焼けた。
 言うならば枕はグローブだったか、ソレの上に感じた感触は、なんとも心地よいものだった。


[ 林間学校>>758続 ]
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