爆サイ.com 南東北版

神道・仏教


No.5771424
合計:
#689


夫は、なぜか猛然と腹が立ち、お釈迦様に食ってかかった。

「そんな出任せ言って、妻に麦こがしを出させよって。取るに足らぬ布施で、そんな果報が得られるものか」

お釈迦様は静かに言われた。

「そなたは世の中で、これは珍しいというものを見たことがあるか」

“いきなり何だ”。男は戸惑いつつも、お釈迦様の問いかけに答えを探し始める。
村の多根樹を思い出した。

「ああ、それなら、あの多根樹ほど不思議なものはない。一つの木陰に五百両の馬車をつないでも、まだ余裕があるからな」

「ほう、そんな大きな木なら、タネはひき臼ぐらいはあるだろう。それとも飼い葉桶ぐらいかな」

お釈迦様の問いに、男はすかさず、

「とんでもない。そんな大きくはないさ。ケシ粒の四分の一ほどだよ」。
「そんな小さなタネから、あんな大木になるなんて、誰一人信じないね」

お釈迦様の言葉に、男は大声で反論した。

「誰一人信じなくとも、オレは信じている」
ここでお釈迦様は言葉を改められた。

「麦こがしのような小さな善根でも、やがて強縁に助けられ、ついにはさとりを開くこともできるのだ」

当意即妙の説法に、自分の誤りを知らされた夫は、直ちに非をわびた。

夫婦そろって仏弟子となったのである。

*麦こがし……大麦を炒って焦がし、臼でひいて粉にしたもの
私たちは、こんな小さな行いをしても、何も変わらないと思うことがあります。しかし、場合によっては、小さな行いが、ものすごく大きな結果を生み出すこともあります。

小さな行いもおろそかにせず、悪いことをやめて、よい行いに励んでいきましょう。


[ 匿名さん ]
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