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🪓 メルティブラッド攻略・地方


No.654720
合計:
#20
皆さん感想ありがとうございます
いまちょっとやる気まじん


ネロ「なに? トナカイを貸して欲しいだと?」
七夜「ああ、季節はクリスマスだろ。わずかばかりの子供の夢に、ってな」
ネロ「ふむ」
 サンタクロースと言えば、トナカイに引かれたソリに乗って空からやってくる。
 これは世界の共通認識だろうし、ならば実行するのがサンタに対しての筋だろう。
 とはいえトナカイなんて何処に住んでるとも知れない。
 カナダとか北極圏辺りに行けばいるんだろうが、それにしたって容易に入手はできないだろう。
 という訳で、俺は手近にいる動物園に依頼することにした。
ネロ「しかしな……」
 だが、どうにもネロは渋っているようだ。
 自分の動物が大切なのか、労働に使われるのが嫌なのか、あまりいい反応は示さない。
七夜「あー、タダとは言わない。それに、何かそっちに適当な条件付けてくれれば、遵守しよう」
ネロ「いや、日頃運動不足の輩だ。外に出すのは吝かではない。ただ、少し疑問があるのだが」
 ネロの言葉に首を傾げる。
 どうやら彼は動物を使わせてくれる事には依存ないらしい。
 何かと思って次の言葉を待っていると、やがて開かれた口から、俺はとんでもないことを聞いてしまった。
ネロ「サンタさんがいるのに、何故お前が真似事をする必要があるのだ?」
 ピシ、と、空気が凍った。
 ネロの口から発せられた『サンタさん』という言葉。
 その微塵も不純を感じさせない、濁りのない目。
七夜(こいつ、本気でサンタがいると思っている……!)
 これは想定外だ。
 まさかこんないいナリした大人が、よもやサンタを本気で信じきっているとは。
 いや、俺とて無碍に否定する気はないが、そこまで純真にはなれない。
 動物好きに悪い奴はいないと言うが、ここまでとは。
 だが一応聞いてみたい、もし真実ならば驚愕すべき事実を。
七夜「そ、そういや、お前は子供の頃サンタにプレゼント貰ったのか?」
ネロ「子供の頃も何も、今でもサンタさんは来てくれるぞ」
 ————正気か。
 誰だ、こんなのに毎年律儀にプレゼント贈ってる奴は。
ネロ「朝起きたら枕元に動物がいてな。たまに違う年もあったが、気づけば666もの数だ」
 どうやらネロの動物は全部サンタさんからの贈り物らしい。
 俺、本気でサンタがいると思えてきた。
ネロ「その中にトナカイもいたが、鼻が赤かった。恐らくサンタさんの乗っているトナカイの子供だろう」
七夜「サラブレッドだな……」
ネロ「純血種だ。しかし成る程、ならばサンタさんのようにプレゼント配りに従事するのも宿命か」
 思う所があったのか、ネロは二頭のトナカイをコートの中から吐き出す。
 そのトナカイは想像していた物よりも大きく、立派な角を生やしていた。
ネロ「行け。お前達が伝説の直子ならば、果たすべき役目があるだろう」
 ネロの一声で、二頭のトナカイは奮い立つように爪で大地を打ち鳴らした。
 俺の傍に立ち、連れて行けと、トナカイの精悍な顔が語っている。
七夜「恩に着る。この宿命、確かに預かった」
 ネロに礼を言い、俺は彼の生活している学舎を後にする。 
 その背中にはぴったりと二頭のトナカイがついてきた。
七夜「しかしコレ……どうやって街中歩こう」
 気づかなければよかった。 


>>18
超GJです
中に書かれている事柄には全体的に同意です
絵については一応作者順にこっちも纏めてみては
といっても、絵柄から見ると殆どが>>16氏のようですが
描き手が増えないようなら、このまま本文にリンクつける形でいいですね


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