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🪓 メルティブラッド攻略・地方


No.654720
合計:
#74
上を見上げると、空を灰色の雲が覆っている。軽やかに舞う雪はそれこそ踊っているようだった。
今日はクリスマスだ。家にいる女性連中はパーティーの用意を、俺は材料や食材などの買出しの役だった。
店頭に立てられた小さなクリスマスツリーや街を彩る装飾。人も多く、活気に溢れていた。
「ケーキは家で作ってるから・・・七面鳥は買ったし、レンに美味しいミルクでも買っていこうかな」
必要なものを買い揃え、あとは適当な雑貨でも物色しよう。
ふと向こうからわずかに笑みを見せる少年が歩いてくるのが見えた。クリスマスだというのに、こいつは制服なのか。
「どうしたんだい、七夜?なんだか嬉しそうだけど」
声をかけると、笑みを崩さずに七夜は答えた。
「今日は大きなパーティーの日でね。それはもう盛大な、ね」
大きなパーティーなのに制服?さすがにおかしいと思ったが、人のファッションにけちをつける気はない。
「お前もどうだ遠野?お前なら特別な席を用意するし、パーティーも盛り上がるんだが」
笑みがより一層歪みを増した。悪意、というわけではないがなんだか嫌な感じだ。
「いや、俺も家でパーティーだ。身内だけの小さなものだけどね。じゃあ俺は行くよ。じゃな」
七夜に別れを告げる。背中に視線を感じたが、振り返ることなく家へ急いだ。
 
「参ったな、遅くなっちゃった」
坂を上り、屋敷を目指す。
雑貨の買い物に時間をかけすぎたのもあるが、少し積もった雪と質量のある人ごみのお陰で予定より大幅に遅刻してしまった。
秋葉の怒った顔、いや呆れた顔が目に浮かぶ。
「兄なんだから、もう少ししっかりしないとなあ」
 
 

そろそろ屋敷に着くかという頃に、唐突に寒気が体を襲った。
 
一瞬の眩暈と、急いで体を動かせというような心臓の動き。寒いのに、まったく引かない汗。
 
嫌な予感、という程度のものではない。
 
最悪の感知。具体的なことは分からないが、なにかがおかしい。
 
急ぎ、屋敷へと向かう。
手に持った袋の中を色々な物が暴れまわるが、そんなのは気にしていられない。
とにかく、急げ!
 
「ハア、ハア」
息を切らして屋敷に到着したものの、嫌な汗は一向に引かない。
首筋に氷を当てられているような感覚は、屋敷に近づくにつれひどくなっていった。
屋敷に明かりはない。門は開けられている。
なにかが、この屋敷に起こっている。
それを探るべく、玄関のドアを開けた。


[ 匿名さん ]
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